参議院議員選挙候補者様
選択的夫婦別姓の法制化に関わる公開質問状

土屋聡 

国政選挙ごとに行ってきた公開質問状です。今回も、宮城選挙区のみになりましたが、質問状を送り、全候補者からではありませんが、回答が届きました。民法改正、みんながなんぼかでも自由に暮らせるよう、是非以下の回答を投票の参考になさってください。

1. はじめに 
 私たちは、別姓を考える会です。私たちは「いろんな生き方、あっていい」を合い言葉に、1991年から選択的夫婦別姓の法制化を実現させる運動を進めてきました。東北(宮城県)を中心に活動してきましたが、現在では北海道から沖縄県まで全国におよそ150名の会員がいます。また、別姓を考える会及び「別姓通信」編集部で運営しているウェブサイトには、毎日100件を越えるアクセスがあります。
 これまでの10年間、選択的夫婦別姓法制化のための国会請願を多くの議員の方々にお願いし、快諾していただきました。また、県議会・市議会でも民法改正に関わる議論をしていただいてきました。ありがとうございました。しかし、残念なことに、選択的夫婦別姓の法改正は未だに実現されていません。
 選択的夫婦別姓制度とは「別姓でも同姓でもどちらでもいい。本人たちの選択の幅を広げよう」という柔軟なものです。別姓を考える会には、全国から(会員でない方からの相談が特に多い昨今です)たくさんの相談が寄せられています。一人っ子同士の結婚をする際の姓の選択についての悩み、改姓による仕事上での不利益、男性が改姓することに対する差別偏見、どちらかが改姓しなくてはならないという制度への疑問など、相談内容は多岐に及んでいます。関心が、依然高い課題なのです。
 さて、今回の選挙ではさまざまな争点があるようですが、別姓を考える会では「一人一人が自分の個性を大切にしながら、互いの個性を認めつつ、互いの権利を尊重し合いながら暮らせる社会を実現させたい」と考え、最も信頼のおける候補者に一票を投じようと考えております。選択的夫婦別姓の法制化だけではなく、性別による差別(女性差別)や戸籍による差別(婚外子差別・被差別部落差別・外国人差別・民族差別など)も撤廃されなければならない課題であると認識しております。あなたが、今回の選挙の立候補(予定)にあたり、どのようにお考えになられているか、当会では注目しております。ぜひ以下の5点について、ご回答いただきたくお願いいたします。
 なお、この回答は、別姓を考える会の会員への機関誌(『別姓通信』)並びに、不特定の方が連日アクセスしている当会のウェブサイトに掲載させていただきます。また、各種報道機関からの掲載要請があった場合、基本的に応じる予定です。

2. 選択的夫婦別姓の法制化に関わる公開質問状
1.選択的夫婦別姓の法制化に賛成反対、その理由
あなたは、選択的夫婦別姓の法制化には、賛成ですか。反対ですか。その理由は、どのようなものですか。

2.婚外子差別撤廃に賛成反対、その理由
夫婦別姓とともに、民法900条の婚外子差別に関わる条項の改正が、各界から提起されています。婚外子差別条項については、国連の人権規約委員会からの勧告がなされておりますが、あなたは、婚外子差別撤廃に、賛成ですか。反対ですか。その理由はどのようなものですか。

3.別姓夫婦の子の姓について、
  婚姻時に届け出か、出生時に届け出か、その理由
別姓夫婦の子どもの姓について、別姓夫婦の子の姓は婚姻時に届け出をするという案が論議に上っていますが、これまで議員立法で提出された案では、別姓夫婦の子の姓は出生時に届け出をすることになっております。この2つの案について、どちらがよいと思われますか、その理由はどのようなものですか。
 
4.家族とは、どのようにあるべきか
「家族は大切なものである」ということに、どなたも異論はないと思われます。しかし一言家族と言ってもその姿は様々です。今日においては人数・構成・それぞれの戸籍国籍についても、非常に多様化が進んでいます。私たちは、一人一人のちがいを認め合うことが、一人一人を、そして家族を大切にすることと捉えています。互いのちがいを認め合うことが、豊かさなのではないでしょうか。選択的夫婦別姓の論議の中で「別姓は家族の崩壊をもたらす」という声がありましたが、家族とはどうあるべきとお考えですか。あなたの意見をお聞かせください。なお国際家族年宣言には次のように書かれてあります。「国内、あるいは国によって《理想の家族像》も、大きく異なる。政府は、家族に関わる政策の遂行において、明示的であれ、非明示的であれ、唯一の理想的な家族像の追求を避けるべきである。(1989.12.8.国連総会採択)」

5.メッセージなど
この回答は、別姓を考える会の会員への機関誌(『別姓通信』)並びに、不特定の方が連日アクセスしている別姓を考える会及び「別姓通信」編集部のウェブサイトに掲載させていただきます。また、各種報道機関からの掲載要請があった場合、基本的に応じる予定です。別姓・結婚・家族・差別問題...に対するあなたの意見などありましたら、お願いします。

(以下略)

■市川一朗候補(自民党)
回答なし

■桜井充候補(民主党)
期日まで回答なし(ただし、期日を過ぎてから回答が届きましたので、ウェブには載せませんが、ここには載せます。)

1.選択的夫婦別姓の法制化に賛成反対、その理由
 賛成です。民主党として1997年以来、数回にわたって選択的夫婦別姓等を内容とした民法改正案を他の野党とともに提出しています。今年の通常国会でも衆参両院に提出しました。
 現在、法律上は結婚の際に夫、または妻の姓を選ぶことになっていますが、実態的には、ほぼ選択の余地なく、ほとんどのカップルが夫の姓を選んでいます。アイデンティティーに深くかかわる自分の姓を自ら選択できない状況は、個人の尊重、男女平等という観点から見直しを検討すべきです。また、姓を変えることで仕事上の不都合が生じたり、ひとりっこなので姓を変えたくないという理由で結婚を控えたりする女性がいることにも注目すべきです。世論調査でも選択的夫婦別姓に積極的に賛成、もしくは容認する方が増えており、早期に選択的夫婦別姓を実現すべきです。

2.婚外子差別撤廃に賛成反対、その理由
 賛成です。民主党が野党とともに提出している民法改正案には婚外子差別の撤廃も含まれています。
 結婚のあり方について様々な議論がされているところですが、生まれてきた子供が婚外子であるかどうかについて、その子供自身にはまったく責任がありません。こうして、生まれつき決まっていて、自分で決められない事柄による差別は、憲法が禁止している「社会的身分による差別」にあたると考えます。

3.別姓夫婦の子の姓について、婚姻時に届け出か、出生時に届け出か、その理由
 出生時に届け出るとすべき。まだ生まれていない子供の姓を届け出ることに、合理的な理由はありません。子供を生むかどうかの選択は夫婦の自由であること、子供を生みたくても生むことができないカップルがいることを考えれば、結婚と出産をセットに考えるような、「結婚時の届出を原則とする制度」は適当でないと考えます。
4.家族とは、どのようにあるべきか
 多様な背景をもつ人によって家族がつくられるのが普通になってきた昨今、家族のあり方については、多様なあり方が認められるべきだと思います。家族の構成員が互いに深い信頼感に基づきながら、個人として尊重しあい、ひとつの家族らしさを育てていくべきだと思います。

5.メッセージなど
 皆さんの粘り強い活動に、心から敬意を表します。選択的夫婦別姓、婚外子差別撤廃は世界の主流になっていると聞いています。一日も早く国会内で過半数の賛成を得て、民法改正を実現したいと思います

■遠藤いく子候補(日本共産党)
1.選択的夫婦別姓の法制化に賛成反対、その理由
 賛成です。日本共産党は、すでに1987年から、希望すれば別姓を名のることができるように、民法改正を政府に求めてきました。97年には党独自の民法改正案を発表し、今年の5月には野党3党共同で、選択的夫婦別姓や非摘出子の平等な相続などを実現する民法改正案を提出しました。今日、日本の社会のなかでは、「別姓をのぞむ人に選択の自由を与えてもよい」という合意が形成されてきており、一日も早く実現できるようがんばります。

2.婚外子差別撤廃に賛成反対、その理由
賛成です。子どもの平等についても、法律上の結婚をしていない男女間の子どもの相続上の権利が不平等になっている問題が指摘されています。この問題では、日本政府が1994年に批准した「子どもの権利条約」は、出生による差別を明確に禁止しています。法律婚であるかどうかで子どもを差別せず、平等に保護される権利があることは世界の流れです。

3.別姓夫婦の子の姓について、婚姻時に届け出か、出生時に届け出か、その理由
 出生時に届出すべきです。子どもが生まれたときに夫婦が合意して子どもの姓を決め、出生届を同時に届けるのが自然であり、理にかなっていると考えます。また、婚姻時に決定することは、第一子、第二子など、子どもの姓を別々に選択する自由を狭めるものとなります。

4.家族とは、どのようにあるべきか
 家族は人間社会を構成する基礎単位です。家族を形づくる夫婦、親子・兄弟など一人ひとりがお互いを認め合うこと、そしてそれぞれが家族関係を大切にしあうことによって、理想的な家族関係が培われていくと考えます。私も家族のなかでそうした努力をこれからもおこなっていきたいと思います。

5.メッセージなど
 イラクでは不法な戦争によって、女性や子どもたち、お年寄りなど一万人以上の人の尊い命が奪われ、家族に耐え難い苦しみをもたらしています。国内でも不況で収入の道が断たれ、また経営が破たんし一家離散という深刻な状況が生まれています。家族は社会のなかで存在しており、社会のあり様によって大変な影響をうけます。家族が安心して暮らしていくためにも、戦争のない平和な社会、人間一人ひとりが大切にする社会でなければなりません。そのためにも自衛隊のイラク派兵や年金改悪、リストラなどおしすすめる今の政治や経済のゆがみを正していかなけらばならないと決意しています。
 また、男女の結婚できる年齢の違いや、女性のみにもうけられている180日の再婚禁止期間の問題、離婚後の財産の分け方などについても、男女平等の立場から改めてほしいという声が出されています。
 さらに、子どもの平等についても、法律上の結婚をしていない男女間の子どもの相続上の権利が不平等になっている問題が指摘されています。この問題では、日本政府が1994年に批准した「子どもの権利条約」は、出生による差別を明確に禁止しています。法律婚であるかどうかで子どもを差別せず、平等に保護される権利があることは世界の流れとなっています。
 こうしたなかで、昨年2月、政府の法制審議会は、「選択的夫婦別姓制度」「非嫡出子の相続差別の廃止」など答申しましたが、これは、おおすじ賛成できる内容となっています。しかし、日本共産党は、答申にある「五年以上別居していれば、男性に責任があっても裁判で離婚が認められるようにする」という点については、離婚によって女性が不利益をこうむる社会的、経済的条件が依然として大きいなかで、現時点では賛成できないと考えます。したがって、日本共産党はいま多数の女性団体をはじめ、国民の多くが納得できる範囲での改正をすみやかに実現することが大切であると考え、大綱を発表するものです。
 わたしたちは、真の男女平等と子どもの平等の前進を願う広範な国民といっしょに、その実現に努力します。また、国会内においても、各党間で合意できるよう全力をつくすものです。

■沖田カツオ候補(社民党)
1.選択的夫婦別姓の法制化に賛成反対、その理由
 賛成。女性に対する差別や偏見、蔑視をなくし、女性の社会的地位向上、権利の拡大という視点からも、法制化は必要と考えます。また「男は仕事、女は家庭」という考え方をなくし、戸籍制度にしばりつけるような制度を考えることが大切で、「世帯単位」から「個人単位」を基本とする制度に転換すべきです。そういう視点に立って選択的夫婦別姓制度を法制化すべきと考えます。
2.婚外子差別撤廃に賛成反対、その理由
 賛成。子どもの権利、子育ちの権利、そして平等の保障という視点に立って、今日の家族制度、戸籍制度は見直すべきと考えます。
 
3.別姓夫婦の子の姓について、婚姻時に届け出か、出生時に届け出か、その理由
 出生時届け出。婚姻時届け出は今日の戸籍制度を固定化することにつながり、また、婚姻が子どもを生むことが前提になってしまうなど、矛盾が多いと思います。親の「選択制」とともに成長した子どもには「姓を選べる」制度の創設こそが個を大切にする制度だと思います。従って出生時届け出が妥当だと考えます。

4.家族とは、どのようにあるべきか
 家族のあり様は、それぞれの家族が決めることと思います。別姓制度が家族崩壊につながるような意見がありますが、論外です。かつてない雇用不安、競争重視、弱者切り捨ての社会が家族崩壊を生み出している一番の社会的要因と考えます。

5.メッセージなど
 競争による選別、分断し、人をけ落とす社会ではなく、全ての差別をなくし、一人ひとりの個性や生き方が大切にされる、支え合い、夢のもてる社会づくりをめざします。この具体化が憲法をくらしや社会に活かしていくことであると思いますし、男女共生社会づくりもそのめざすべきところだと思います。「考える会」のみなさんとも一緒に取り組んで行きたいと思います。

■菅原としあき候補(民主党)
1.選択的夫婦別姓の法制化に賛成反対、その理由
 賛成です。冷戦構造の終了後、社会状況が大きく変化し、女性の地位が向上してきている今日的状況の中で、女性が自主自立の道を歩むのは当然でしょう。結果として別姓が必要になっていると考えています。女性の活躍に期待します。

2.婚外子差別撤廃に賛成反対、その理由
 撤廃に賛成。どのような理由があっても、子供は守られることを大前提にこの世界に生まれてきます。生まれながらに差別を受ける事に反対します
 
3.別姓夫婦の子の姓について、婚姻時に届け出か、出生時に届け出か、その理由
 とりあえず、出生時に賛成です。婚姻時に決めるということは、子供の権利が最初から無視されていることになるのではないでしょうか。現在の法体系は、法的に責任が発生する成人を中心に考えられていますが、本来ならばこどもが自分自身で決めるべきと考えます。
 
4.家族とは、どのようにあるべきか
 仲良く暮らすこと。互いを尊敬し、慈しみ愛し合うこと。
 
5.メッセージなど
 (無回答)


富山県参議院選挙
立候補予定者の「民法改正に関するアンケート」回答

ななの会(選択的夫婦別姓の会・富山)

以下の項目について、該当のものを選択又はご記入ください。  

1 富山県民の意識調査(1999年富山県女性青年課)で男女の晩婚化の理由の一つに『兄弟の数が減ったことや一人っ子どうしが増えたために、婚姻による改姓が障害となっている』が、10%強あります。もし、貴方が一人っ子どうしの結婚に直面したと仮定し、よく話し合った結果、どうなさるでしょうか。
□夫の姓にする □妻の姓にする □どちらかが通称(旧姓)使用にする
□事実婚(婚姻届をださない結婚)にする □答えられない

2 民法(婚姻・親子関係などに関する事項)を改正すべきだと考えますか。
□考えている  □考えていない

3 以下の事項で改正すべきだと考えるものを選んでください。
□婚姻年齢を男女とも18歳にする □選択的夫婦別姓制の導入
□非嫡出子の相続が嫡出子の2分の1と規定されている条項の廃止
□再婚禁止期間を現行の180日を短縮する(法制審案は100日)

4 女性差別撤廃条約の批准国に対する 国連の女性差別撤廃委員会第29会期(2003年7月)の日本政府レポート(第4次および第5次)審議報告書(JNNC訳)についてお尋ねします。この報告書の中に日本政府に対して『民法の中の差別的な条項を削除し、立法や行政実務を,条約に適合させることを求める』とあり、夫婦同姓の条項も含まれます。更に条約の『選択議定書の批准』が要請されています。そこで、選択的夫婦別姓制の導入や『選択議定書の批准』について、どうお考えでしょうか。
□賛成する □時期尚早である □反対する

5 3に書いてある事柄以外に民法の中で改正すべき点があれば教えてください。

6 民法改正や男女共同参画社会づくりに関するご意見などありましたらご記入ください。

(送り先など略)   

■谷林正昭候補(民主・57歳)
1.答えられない 2.無回答 3.無回答 4.時期尚早

■河合常則候補(自民・67歳)
1.当事者間で決定することである 2.考えていない 3.無回答 4.時期尚早

■上田俊彦候補(共産・50歳)
1.通称使用 2.考えている 3.選択的夫婦別姓、非嫡出子差別、再婚禁止期間 4.賛成

■小川晃候補(社民・64歳)
1.当人同士の意思尊重 2.考えている 3.選択的夫婦別姓、非嫡出子差別、再婚禁止期間 4.賛成

5 質問3の他に民法の中で改正すべき点
・離婚後の財産分与は夫婦同等にあつかうこと。5年以上の別居を裁判上の離婚原因とするのでなく個々の事情に応じて判断する。(上田)

6 民法改正や男女共同参画社会づくりに関するご意見
・個人の身上や生き方に関わる問題は多数決で決めるべきではないと思います。(谷林)
・男女共同参画社会の推進は当然のことであり、今後とも積極的に推進したい。(河合)
・DV法を生かし、国・地方自治体の責任による被害者の保護、自立の支援。
女性が正当に評価される、又安心して働くことのできるルールの確立。
女性専用外来や女性専用相談窓口の開設と充実をはかる。(上田)

「回答まとめ」(ななの会)
 このアンケートにご協力をいただいた皆様に感謝申し上げます。
 まず、質問1に関して、立候補予定者の方が回答の選択に苦渋されたと察したのは私たちの穿ちすぎでしょうか。婚姻後の姓に悩む当事者の選択肢を増やす意味で私たちは民法の選択的夫婦別姓制の必要性を強く感じました。出自の姓を名乗ることが出来れば結婚する人が増える可能性も大きくなります。
 質問2以下については様々な意見がありますが真摯に答えてもらいありがたく思っています。今後のななの会の活動に生かしていきたいと思います。

米2004年6月1日〜6月12日実施 2004年6月15日発表


「ご意見ご批判承り担当」の独り言

沼崎一郎 

こういう肩書き?で別姓を考える会のホームページにメールアドレスを出しているために、色々なメールが舞い込みます。先日は、こんな匿名メールが届きました。
 ・・・ホームページであなたさまのご意見を拝見しました。こんな考えの男性がいたのか、という思いです。・・・名前を外圧によって「変えさせられる」という屈辱は想像以上でした。・・・結果的には籍を「入れさせられた」のですが、免許証、保険証など、見る度に、本当に不愉快な思いです。・・・名前は大切なアイデンティティです。名前を変えさせられるのは、吸収合併に他なりません。・・・あなたさまのような考えの方が増えることを、切に望んで止みません。
 スッキリしないメールだなあ、というのが最初の印象でした。まず、「あなたさま」という呼びかけ方が引っかかります。それから、「外圧」という言い方も気になります。名前を「変えさせられ」たとか、籍を「入れさせられた」という受身の姿勢にも、ウーンと唸ってしまいます。そして、「あなたさまのような考えの方が増えることを、切に望んで止みません」という結びの一文には、正直言ってカチンときました。それで、ちょっとキツイかなあとは思ったのですが、こんな返事を出しました。
 メール拝見しました。私のような男が増えるかどうかは、あなたのような女性が夫を変えられるかどうかにかかっています。あなたのような女性が夫に屈している限り、別姓夫婦は増えません。今からでも、ペーパー離婚できますよ。
 カチンときたのは、メールの主に積極性が全く感じられなかったからです。「切に望む」というなら、「何かしろよ、自分も動けよ!」と思ってしまうのです。自分の不幸を「外圧」のせいにして、自分は受身のままで、ただ社会が変わるのをじっと待っているというのは、いくらなんでも消極的過ぎないでしょうか?
 最近こういうのが多いよなあ、という気がします。「ずっと待っているのですが、いつになったら民法改正が実現するんでしょうか?」とか、「男女平等の世の中になることを祈っています」なんて感じの「ご意見」です。
 おいおい待ってるだけかよぉー、と思ってしまうのですね。そもそも夫婦別姓の運動って、「通称使わせてくれぇ」と会社で言い続けてる人とか、「婚姻届なんて出すのやんだっちゃ」と出さないカップルとか、自分で何かやってる人たちが、仲間を求めて集まったものではなかったでしょうか? 法制審議会が中間報告を出して意見を募れば、せっせと葉書を出しました。選挙のたびに、候補者にファックスも出しました。国会にも行き、集会を開き、そこそこ楽しみながら、ワイワイと「動いた」ものでした。
 民法改正こそ頓挫したままですが、多くの役所や企業が通称(旧姓)使用規定を作りました。通称使用でいいなら、随分と楽になったのではないでしょうか。「フ‐フベッセイ」という日本語も、「え?」とは言われなくなりました。それもこれも、皆で「動いた」からです。会社が認めなくても、「私は○○でーす」と名乗り続けた人がいたから、会社も認めるようになったのです。
 自分から動く人たちは、通称であれ、離婚であれ、既に欲しいものを手に入れているような気がします。そういう人は、もう夫婦別姓の先へと進んじゃっています。私のところに届く「ご意見」は、どうも動かない(動けない)人たちのボヤキが増えているようです。
 願っても祈っても、何もしなければ手に入りませんよぉー。


イベント『同性パートナーを考える』のお知らせ

性別と性の平等連合・ユニオンステーション 

 アメリカ大統領選で同性婚が争点になるなど、同性パートナーシップの法的保障が世界的に話題になっています。日本においても本格的な議論のきっかけになることを期待して、このたび大阪で公開イベントを行います。
 みなさま奮ってご参加ください。

○基調講演: 二宮 周平 立命館大学教授
○パネルディスカッション:赤杉康伸 土屋ゆき 真木柾鷹 他
○司会   :筒井 真樹子
○主催   :性別と性の平等連合・ユニオンステーション
       http://genderforum.hp.infoseek.co.jp/
○共催   :血縁と婚姻を越えた関係に関する政策提言研究会
      (当日、同性パートナーに関するニーズ調査の結果発表もあります)
○協賛   :同性パートナーシップの法的保障を考える有志ネットワーク
       性は人権ネットワーク・ESTO
○開催日  :2004年8月1日(日)14時〜17時
○開催場所 :ドーンセンター4F第1大会議室
       (大阪。京阪・地下鉄谷町線天満橋下車)
○参加費  :前売1200円、当日1500円。
○前売取扱 :郵便振替で代金をお振り込み下さい。
       14480−41231371 ユニオンステーション
       ※当日振替領収証呈示で入場券にお引き替え致します。
       (入場券の郵送は致しません)
       ※出演者は変更する可能性があります。
       ※イベント中止の場合を除き、入場料の返却は致しかねます。
※書籍『同性パートナー・同性婚・DP法を知るために』の予約販売も受け付けています。前売入場料と同時にお振込頂ければ当日2000円(定価2100円)のところ1900円で販売します。(商品は当日受付でお渡しします)
○問い合わせ:ユニオンステーション genderforum@infoseek.jp
       090−6736−9092(当日のみ)
○注意事項 :※報道関係者が来場する可能性がありますのでご了承ください。
※会場では責任者の指示に従ってください。指示に従って頂けない場合は退場頂くことがあります。


嫡出でない子の「父母との続柄」欄の記載方法の改善に関する意見募集

転載:樋口典子 

 嫡出でない子の「父母との続柄」欄の記載方法の改善につきまして,戸籍法施行規則(昭和22年司法省令第94号)の改正を検討しています。

 嫡出でない子の「父母との続柄」欄の記載方法の改善(骨子)

1  背景東京地方裁判所平成16年3月2日判決において,戸籍においては,嫡出子と非嫡出子とが明確に判断できるように記載することが要請されているが,国民のプライバシー保護の観点から,その記載方法は,プライバシーの侵害が必要最小限になるような方法を選択し,非嫡出子であることが強調されることがないようにすべきであり,現行の続柄欄の記載は,戸籍制度の目的との関連で必要性の程度を越えており,プライバシー権を害しているとの判断が示されました。そこで,行政上の配慮として,非嫡出子の続柄欄の記載方法を嫡出子と同様の記載とする改善を図ることとしたものです。

2  概要
(1) 非嫡出子の父母との続柄欄の記載を,嫡出子の場合と同様に,「長男」,「二男」又は「長女」,「二女」等とする。
(2) 「長」,「二」,「三」等の定め方は,嫡出子については「父母との続柄」を基準とし,非嫡出子については「母との続柄」を基準として決定する。
(3) 非嫡出子の父母との続柄欄の記載の更正(「男」又は「女」から「長男」又は「長女」等への更正)は,本人(15歳未満の場合には,その法定代理人),母又は父(親権者変更により父を親権者と定めた場合)からの申出により行う。
(4) (3)の申出に際しては,非嫡出子の続柄を確認できる資料(戸籍謄本等)を添付する。

 ついては,本件に対する皆様のご意見を以下の要領で募集いたしますので,お寄せください。なお,頂いた御意見については,法務省民事局において取りまとめた上,規則改正の参考にさせていただきますが,その内容を公開する可能性があること,個々の御意見に直接回答することはないことをあらかじめ御了承願います。

意見募集要領

1 意見募集期間2004年6月11日(金)から同年7月9日(金)まで
2 意見送付要領
  住所(市区町村までで結構です。),氏名,年齢,性別,
  職業を記入の上(差し支えがあれば一部の記載を省略しても構いません。),
  電子メール,郵送又はfaxにより意見募集期間の最終日必着で送付してください。
  なお,電話による御意見には対応することができません。

3 あて先
  法務省民事局民事第一課
  郵送:〒100−8977東京都千代田区霞が関1−1−1
  FAX:03−3592−7961・電子メール:minji45@moj.go.jp

4 問い合わせ先法務省民事局民事第一課TEL:03-3580-4111(内線2430)


夫婦別姓法律婚連盟と夫婦別姓実現協議会によるアンケート調査

転載:樋口典子 

 アンケート対象の全候補者に電話でフォローを入れましたので、回答してこなかった議員は、基本的に夫婦別姓に関心がまったくないか、反対か、どうでもいいかです。
 2004年7月11日に第20回参議院議員選挙が行われます。
今回の参議院議員選挙は「年金改革・多国籍軍参加が2大争点」であると言われていますが、私たちにとっては何と言っても夫婦別姓選択制度に対する候補者の立場が非常に気になるところでした。
そこで私たちの会は今回の参議院議員選挙に先立ち、自民党公認候補者の方々にアンケート調査を行いました。
アンケート実施は、FAXまたはEメールによって自民党公認候補者の方々にアンケート用紙を配布、回答をFAXまたはEメールで返信していただくという方法で行いました。
調査対象者は自民党公認候補者のうち現職候補38名と、アンケート送付時点でFAX番号またはEmailアドレスが明らかになっていた新人候補40名です。残り5名の新人候補の方には、連絡先がわからなかったため、アンケート用紙を送付することができませんでした。
 アンケート内容は以下の通りです。

第20回参議院議員選挙 自民党公認候補者の方々に対するアンケート

問1 夫婦別々の氏のままで婚姻届を提出できる制度がないので様々な不便を余儀なくされている夫婦が多数おります。あなたはこのような夫婦のために夫婦別々の氏のままで婚姻届を提出できる制度を作ることに賛成ですか? (1)はい        (2)いいえ

問2 問1でいいえとお答えになった方にお尋ねします。いいえとお答えになった理由はなんですか?  理由:

問3 上記アンケートに対する回答結果を協議会および連盟のホームページで公表して差し支えはございませんか? (1)差し支えない   (2)差し支える

アンケート結果

*以下はアンケート結果ですが、記載の便宜上、問3(当会HPへのアンケート結果公表の可否) 問1(例外的夫婦別氏制度への賛否)、
 問2(問1で反対の場合はその理由)という順に並べてあります。
*問3の公表可は1、公表不可は2で示しております。
 問1の賛成は○、反対は×で示しております。
*空欄は未解答の議員です。
 未解答の議員の事務所には、フォローの電話を入れましたが、
 その際に何らかのコメントを戴いた場合は、そのコメントを掲載いたしました。
*参考までに、現職候補か新人候補かも示してあります。
 アンケート内容は以下の通りです。

選挙区 候補者名
現/新 問3 問1 問 事務所からいただいたコメント2

■北海道 中川義雄候補
現 1 × この問題につきましては、今後も多くの方々のご意見を聞き、議論を重ねていかなければならないと考えておりますので上記の設問であれば「いいえ」となります。  
■秋田  斉藤滋宣候補
現 1 ○    
■福島  岩城光英候補
現 2      
■茨城  岡田 広候補
現 1 ○    
■栃木  矢野哲朗候補
現  アンケートというものには一切答えません
■千葉  椎名一保候補
現 1 × 結婚は家庭の基盤、夫婦が同じ姓を名乗ることが自然と考える。今、あらゆる場面で家庭力、地域力が求められている。家庭のあり方を考えた時、夫婦同姓が望ましい。個人→家庭(家族)→地域(ふるさと)→国家に対する親愛と敬意、大切だと思う。   
■東京  中川雅治候補
新 1 × 社会を構成する基本は家庭です。個と社会との関係意識が希薄な現代にあって、別姓は家族の絆を弱め、社会全体の精神的つながりの崩壊を助長しかねません。先人が長い間をかけて培ってきた日本社会の伝統、文化、生活を尊重し、大切にする心が失われてきているのは誠に残念です。現在の不便で左右する事柄でなく、不便を克服する知恵を皆んなで考えるべきではないでしょうか。
■神奈川 小泉昭男候補
新 2      
■富山  河合常則候補
新 2      
■山梨  大柴堅志候補
新 1 △ 夫婦別姓の制度をつくることについて、賛成でも反対でもありません。それぞれの人のご自由でよろしいのだと思います。  
■長野  若林正俊候補
現 1 × 社会の構成単位としての夫婦は同一の姓であることが、社会生活上望ましい
■静岡  山下善彦候補
現 2      
■静岡  坂本由紀子候補
新 1 ○    
■和歌山 鶴保庸介候補
現 1 × 例外的に認める  
■島根  青木幹雄候補
現 アンケートには答えない
■広島  亀井郁夫候補
現 1 × 家族の崩壊が問題になっている現状を考えると「はい」とは言えない。  
■香川  山内俊夫候補
現 1 × 日本人的家族制度の崩壊につながる  
■愛媛  山本順三候補
新 1 × 夫婦別姓により、家族、家庭内に大きな影響を与えることになる。特に子供に与える悪影響が予想される。  
■比例  加納時男候補
現 1 ○    
■比例  のおの知惠子候補
現 アンケートには一切答えない
■比例  笹川博義候補
新 1 ○


5月の相談室報告

土屋聡 

 5月の「別姓相談室」は、30日の日曜日、いつものエルパーク仙台和室で行いました。前日の福島瑞穂さんの講演会に参加した人は「いやぁ、連日ですねぇ」という感じでした。ちなみに今回の参加者は、初めて来られた方が2人AさんBさん、会員が5名でした。
 Aさんは、離婚をしました。そして、お母さんのいらっしゃる仙台に来ました。再婚するときの参考になればと、これまでも関心があった選択的夫婦別姓の実際を知りたいということで、参加したということでした。
 Bさんは、3日前にインターネットで今日の集まりを知り、岩手から駆けつけました。今、結婚を考えているのですが、相手の男性は一番目の息子で、Bさん自身も一番目の娘。いわゆる「長男」「長女」カップルということでした。別姓の場合の子どもの姓はどうなるかなどを、知りたいということでした。
 参加者の会員から、それぞれに自分の体験などが語られました。離婚を経験している人が複数いたので、離婚に関わることもかなり話題になりました。
 思い起こしてみると、10年前の別姓を考える会の学習会で離婚について、いろいろ話し合ったことがあったなぁと、私は思い出したりしていました。当時は、民法改正に関わって「別居○年で、離婚の要件とするか」が大きなポイントだったんですが。
 小学校教員をしている私としては、離婚はとても身近です。よくあります。そして「結婚」がいろいろであるように、「離婚」もいろいろと感じています。よく「子どものためを思ってほしい」という話が聞かれます。たいていは、離婚をすべきでないという立場からなのですが、「子どものためを思って」の離婚もあるのだと、感じています。
 子どもの姓についても、いろんな話が出ました。基本的に、子どもと出会う前にあれこれ心配するよりも、出会って愛してあげれば、それでOKという感じでした。世の中、いろんな差別があります。それらは、制度によるものも含めて変えられるべきです。でも、制度や決まり事を変えるだけでなく、へこたれないしたたかさを持てるゆとり! 私は、しんどいことを共に乗り越える仲間がいれば(嫌なことが全部消えるわけではありませんが)差別に勝てそうだなぁと、思っています。
 AさんとBさんには、参考になる会だったか、若干不安ですが、私としては、皆さんのいろんな思いを聞けて、うんとよかったなぁと感じています。感謝します。
 次回は、すぐです。7月24日F14:30より。いつものエルパーク仙台・創作アトリエ。ぜひあなたも、いらしてくださいね。


自民党の憲法改正Pチームの論点整理について

樋口典子 

 自民党の憲法改正プロジェクトチームが改憲のための「論点整理」を公表しました。(2004/06/23 信濃毎日新聞朝刊より一部掲載)
 結党以来はじめて新綱領に「新憲法制定」を明記した自民党が、どんな方向で改憲をめざしているのかがよく分かる。驚かされるのは、二十一世紀の今日、逆に復古的としか言いようのない「論点」が多く並んでいることである。たとえば「婚姻・家族における両性平等の規定(現憲法二四条)は、家族や共同体の価値を重視する観点から見直すべきである」という。憲法二四条は、婚姻や家族に関する法律が「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚」すべきことを定めているが、論点整理はまるで個人の尊厳よりも家族や共同体全体の価値を優先して、男女平等自体を否定しようとしているかのようである。
(全文は右記にあります)http://www.kenpoukaigi.gr.jp/seitoutou/20040610jiminkaikenPTronten2.htm