昨日へ     2001年05月05日     明日へ

  

やっぱり、出かけたんです。朝、8時にバイクで家を出て、下北に向かったんです。テント持ちました。一人で出発です。

東北道で青森までノンストップ。いっぱい歌を歌っていきました。いっぱい歌ができました。でまかせで、じゃんじゃんできるんです。気持ちよく3時間歌っていきました。ちょっと口が休んだら、耳が「あっ、CD終わった...」って言いました。これには、我ながら驚きました。

青森から浅虫水族館前の渋滞をくぐり、平内町の小学校を眺め、横浜でミニほたて丼を食べ、寒空のむつを通過し、僕は、奥薬研の温泉を目指しました。今回の最大の目的は、お風呂に入ることだったんです。

昨年の夏、北海道から帰ってくるとき、大間着のフェリーで上陸した僕は、大間でテントを張りました。朝、佐井からの林道で奥薬研にたどり着いた僕は「明日から仕事だぁ」とぼやきながら、バイクツーリング途中の青年たちと、無料露天風呂のかっぱの湯にだらだらと入っていたんです。後から来たバイク乗りの方に「道路の脇にも、いいお風呂あるんだよ。落石注意の看板のところ」と教えられました。ずくに行きました。あった! でも、体がふにゃふにゃで「もう温泉は、おなかいっぱい〜」って、入らないでしまったんです。で、今回は、その温泉にリベンジ。とにかく、そこに入れば満足ってわけだったんです。

行きました。ありました。夏と比べて、木々には葉がなく、丸見えもいいところ。地元のおじさんと一緒に入りました。着替え小屋も何もなく、道路のすぐ脇。でも、なんだか落ち着くんです。すぐ下の川には、きっとイワナくんたちが、気持ちよく泳いでいることでしょう。露天風呂で、石鹸で体を洗い、垢すりこもして、髪も洗い、髭も剃ったのは、ここが初めて。たっぷり、1時間は、裸で風に吹かれていました。地元のおじさんたちとも、お話できました。ほっ。

当初、奥薬研のキャンプ場でもいいと思っていましたが、まだ時間は早い。とりあえず今日のねぐらをいつもの大間に定めて、大畑経由で走り出しました。夜に大間に上陸し、夜道を家を目指して走ったときには、えらく長く感じた海峡を見ながら走る道も、夕方ならすぐって感じでした。大間には、観光客が若干。僕は、テントサイトに、どっこらしょ。

しかし、テントを出すところまでしたのですが、まだ日は高いんです。5時です。もうちょい走ろう! 風車で遊んでいる子どもたちを写した(上の写真)僕は、これまた毎度の佐井の願掛岩のキャンプ場目指して、走りました。途中のスーパーで、お酒と、ごはんを買って、行きました。夏には看板だけ立っていた原発予定地で、工事が始まっていました。「私の青空」の町に原発!? マグロはどうなるの? この件はあらためて、文書にしますね。

願掛岩でテントを張りました。テントの人は、だぁ〜れもいません。16年前に歩いて下北を回ったときと同じ、岩のすぐ下に新しいテントを張りました。今回、マッチを持ってくるのを忘れました。新しくできたバンガローの管理棟の管理人さんに言ったら、マッチをくれました。さぁて、宴会です。だぁ〜れもいない、波の音も届かない、風もない夜。月は満月に近く、酒はたっぷり、つまみも十分。手元には、旅用ギター(マーチン・バックパッカー)。たき火は、薄暗い中、林の中で、拾ってきた小枝たち。僕は、気持ちよ〜く、酒を飲み、お月さんと一緒に歌い、たき火をいじりました。ぴよさんも一緒に来ればよかったなぁと思いながら、そろそろ寝ようと思ったとき、

すぐ裏の闇の中で、木を踏み分けて歩く音! それは近づいてくるんです! 人? それとも...僕の頭の中では、いろいろとぐるぐる回りました...猿? いや、あれは脇ノ沢あたりが北限だ...狐? ミシミシ音をたてないよ...じゃあ、何? 「だれか、いるんですか?」声をかけたけれど、真っ暗な中からは、音もせず、立ち去る様子もない。懐中電灯を当てても、何も見えない。それどころか、別の方からも、ミシリミシリと近づいてきた! 僕は、たき火に最後の枝をくべ、バイクのライトをオンにした。ギターをじゃらじゃらやった。でも、何も打開されない。...熊? 来る途中何枚も「熊出没注意」の看板があった! きっとテントサイトの残飯に味をしめたんだ...

さすがに、このままでは眠れないと、僕は荷物をテントに積め、テントごと持ち上げて、移動しました。バンガローの見える、道路のそば。バイクも、移動しました。暗闇を凝視したけれど、何も見えず、でもきっと、向こうからは見えているんだろうと思いながら、逃げました。移動しても、不安。しかしながら、シュラフに入ると、どうやらなんてことなく、眠ってしまったようです。

去年の今日