昨日へ    2002年03月14日   明日へ

今日は、河北新報のからくりこらむに、僕のコラムが掲載される日でした。3回目で、もう慣れっこになったと思っていたら、朝から反応があり、驚きました。載せたコラムは、こんなんです。

はてしない将来の夢

いやはや、子どもたちの成長は早いもの。もうすぐ卒業式。みんな、いい感じに輝いています。

さて、数年前まで、卒業シーズンになるとサイン帳が流行っていました。かわいいメモ帳みたいなやつに、名前・住所・電話番号等を書くんです。「趣味」の欄。「好きなアイドル」の欄。「好きな食べ物」の欄。そんなのに続いて「将来の夢」なんて欄があるんです。私が何を書こうかと迷うと、子どもたちは「○っ○ー(河北では僕のニックネームになっています)、もう先生だよ」「もう大人だから、書かなくていいよ」と言いました。「むむ、大人に夢はいらんというのかい? まだまだ人生楽しまんとのぉ」と言い返す私。大人になってもいろいろ楽しそうだなあと、子どもたちに感じてもらいたい私は、ちょっと「将来の夢」にこだわる大人だったんです。

ふと、六年生のカードを見ると「Jリーガー」とか「デザイナー」の文字。なるほど、「将来の夢」とは、職業選択のことでしょうか。確かに、思い起こしてみると、小学四年の僕はドリトル先生に憧れて獣医に、六年の僕は新聞記者や報道カメラマンに、中学生の頃には映画監督になるのが夢でした。職業選択がそのまま実現させたい「将来の夢」のようでした。

そんな私は結局小学校教員という職業を選択しました。子どもたちに言わせると、ここからもう「将来」はないかのようです。でも、憧れる暮らし方、実現させたい野望、いろいろ密かに「将来の夢」はあるんです。

自給自足半農半漁。定住せずに諸国を巡る旅暮らし。居酒屋の料理人。バンドを組んでコンサート。子どもたちに囲まれ賑やかに暮らす・・・あれっ?「夢」と言いながら、どれも何とかすればできそうな、そんな感じがします。ちょいと踏み出せば、実現できそうなこと。ちょいと踏み出さないばかりに、実現していないこと。

さあ、あなたの「将来の夢」はどんなものですか? 思い描くだけで、すぐに諦めてはいませんか? もう春です。スタートの季節です。

さて、こういう文章を載せたからというわけではありませんが、今日は5年生のみんなに「中学生の自分」「20歳の自分」への手紙を書くという予定になっていました。今日は、メモまでということにしていたのですが、中学生のイメージ・そして20歳のイメージのために、前々から子どもたちからリクエストが出ていた、僕の子どもの頃の写真を披露しました。赤ちゃん時代、幼児期、そして5年生のとき。5年生のときの写真を見たときが、みんなの反応が一番大きかったです。
「こりゃ、いじめられそう!」
という声が、すぐさま出ました。ちなみに、20歳の写真、学校教員になりたてで髪が短かった頃の写真も見せました。そして、赤ちゃんの頃から並べて、
「全部、私」
と、変遷(成長)を示しました。

手紙には、「予想」ではなくて「希望」を書こうと言いました。みんな悩みます。笑いを取ろうとする少年の傍らで、集中して書いている少女がいました。みんな、いろいろ考え、明日、清書をする予定です。

午後、5年で最後の家庭科の授業をしました。4月にみんなに「家での仕事」を紙に書いてもらい、やったことがあるものに赤印を付けるということをしました。その紙を、僕は預かっていたのですが、今日、ほぼ1年ぶりに返しました。字の変化に驚いたり、懐かしんだり、もうこんなことしているよ!と、仕事の内容に目をやる人もいました。そして、いろんな仕事をしながら、暮らしていこうねと、まとめるつもりでしたが、ちょいと思いつきで、問題を出しました。それは、次のようなものです。

問題です。まずは、お話をよく聞いてくださいね。大きな客船が、沈没しました。乗務員は、全員死亡しました。新聞記者が、船長の娘に、こう言いました。「気持ちを落とさないようにしてください。これからは、お母さんと手を取り合って、頑張っていってください。」 すると、その娘は「?」とへんな顔をしました。...さて、それはなぜでしょうか?

今、これを読んでいるあなたは、どうしてだと思いますか? 
「本当は、死んでいないから」
「そこに、亡霊が出ていたから」
そんな意見が出ました。でも、答えは違います。正解は、出ないと思っていたのですが、ある女の子が、さらりと言いました。驚きました。正解です。
「船長は、お父さんではなくて、お母さんだから」
...これは、ある男性学の講座で知ったものです。正確には、ちょっと違う内容だったかもしれませんが、「船長」と聞いて、すぐに「男性」=娘の「父親」と無意識に考えてしまうジェンダーに気付くためのものだったんです。正解がさらりと出るとは、驚きました。さすがKちゃん!です。

みんなが「な〜るほど」という顔をしていたので、「家の中のいろんな仕事」と「職業選択」の自由について、話しました。妙にしんとして、集中して聞いていたみんなでした。
「校長先生が女子トイレに入った」
という例文を示したところ、
「前にいた教頭先生、女の先生で、校長先生になったよ」
などなど、いろんな話が出ました。
「総理大臣だって、女でいいんじゃん」
とのこと。

そんな話をふまえ、教室の上に貼ってあるあいことば
「自分のことは、自分で決める〜相談してもいいんだよ〜」
を、確かめ合いました。明日、将来の自分への手紙の清書します。みんな、どんな手紙を書くだろうなぁ。後1週間で、修了式です。

上の写真は、昨日みんなで撮ったもの。こんへんに集まってと言わなくても、誰がリードするわけでもなく、みんなしてくっつける雰囲気が、僕はとても愛しいです。