昨日へ    2002年07月11日   明日へ

台風の朝

やはり、台風が来ました。いっぱい雨が降りました。予想通り、僕の暮らしている松山町の学校は、臨時休校でした。でも、僕の勤める学校は、休校ではなかったので、四輪車で学校へ向かいました。

鈴根五郎さんの鳴瀬川堤防に登ると、鳴瀬川は静かな、けれども大きな濁流でした。僕はいつも通りに、堤防を降りて、田んぼの中の農道を走り、下伊場野から三本木に向かう道を進みました。あちこちの水路があふれていました。前の車が止まりました。見ると、道路の傍らを流れる道路と同じくらいの幅の川があふれているんです。川は、道路を堂々と横切って流れ、対向車も向こう側で躊躇していました。僕は、いつも通っている道なので大丈夫さ...と、前の車を追い抜き、ざぶざぶと濁流の中を行きました。後から付いてくるかなと思って、ちらりバックミラーを見ましたが、誰も動きません。僕は、お気に入りのUAの曲を聴きながら、ずんずん進みました。へっ、こんなものさっ!

しばらく行くと、また濁流が道を覆っています。えいやぁ!と、僕を乗せたホンダ・ロゴは走ります。しばらくすると、また濁流。道幅が狭くなり、その分水の量が多く感じられました。でも、えいゃあ!と行きました。少し、ドキドキしました。しばらく行くと、また濁流。軽トラックが、ちょうどUターンしいるところでした。僕も、Uターンするべきかと考えましたが、Uターンしたところで、今しがた濁流を越えてきたばかりです。振り返ると、今越えてきたばかりの濁流は勢いを増しています。

やばい! ここに取り残されるかも...いや、前後の濁流が合流して、僕は流される!

お気楽な選択をした自分を少し責めました。責めた途端に、心臓がドキドキしてきました。もう、前進するしかないように思いました。当然のことながら、後から来る車はなく、対向車もありません。

黄土色の重そうな水の中に、進みます。UAは、歌ってくれていますが、あまり慰めになりません。水の切れる向こうが見えず、まるでそれは永遠のようです。せめて、バイクと違って転倒することがないことを、幸いと思おうとしていました。アクセルを同じように踏んでいるのに、だんだん車は進まなくなります。エンジンが、水を吸ったら終わりでしょう。焦らないように、ゆっくりとアクセルを踏みます。プールの中を歩くのが、意外と体力を要するように、水の中を進むのは、車とて容易ではないのですね。あんまりエンジンに負荷を掛けてはいけないと、ちょっと止まってみました。ドアを開けたら、水が容赦なく進入! 僕はすぐにアクセルを踏みました。ゆっくりゆっくりと進みました。ゆっくりゆっくりでも、進んでくれることが幸いでした。

カーブを曲がったら、あっ! 舗装が見えました! 助かった! でも、その向こう、新幹線の高架の下に、水没している車を見つけました...ああ、越えられないのか...

見ると、手を振っている人がいるではありませんか。カッパを着て、こっちに来いと誘導している人。新幹線の高架の下をくぐらず、堤防に上がるように合図しています。僕は、会釈しながら堤防に上がり、命拾いをしました。堤防に上がると、鳴瀬川の濁流。堤防下の家は、浸水しているようでした。大丈夫だったでしょうか。

いやはや、いい気になってはならんぞ! そういう教訓を得た朝でした。

台風が去って、青空が見えて、普通通りに授業をして、帰り道、朝との違いに驚きつつ、松山町に帰りました。