昨日へ     2002年11月29日   明日へ

伊豆沼

今日、ちょっと嬉しかったんです。ある6年生が、ぽつりと言いました。「先生って、ダックス先生に似てるよね。いや、もっと変かな?」僕は、気持ちに、ロウソクの灯火がぽっと灯りました。「えっ、? ダックス先生って?」 灰谷健次郎の短編に出てくる「ダックス先生」だなぁと感じつつ、聞き返しました。すると別な6年生が「サイオンジヤスタカだよ」とさらりと言いました。僕は、驚きました。みんな、なんだかんだ言って、本を読むようになったなぁと、感動しました。

「ダックス先生」は、灰谷健次郎作「きみはダックス先生がきらいか」の主人公です。ご存知ですか? まあ、いわゆるユニークな、人間味あふれる先生なのです。だから、「ダックス先生に似ている」とは、何と素晴らしい褒め言葉でしょう! しかしながら、嬉しく思うのは、褒められたことよりも、みんなが本を読んでいるということ、しかも本の話ができるということです。僕は、「ダックス先生」の本が、教室の本棚にあることさえ忘れていました。「えっ? どの本?」と聞くと、「ほら、そっとの本棚の『海になみだはいらない』って文庫本に入っているよ」と、別な子が言いました。「カバーが壊れてて、読みにくい」という声もありました。

僕は、小学5年生の頃から、ずっと本の虫でした。とくに高校生の頃は、どんぶり飯を平らげるように本を読みました。いわゆる勉強はしませんでした。英語と政治経済だけは、好きでした。本は、読めと言われると読みたくなくなるもんなので、これまで、子どもたちに薦めることはしても、「読みなさい」と言うことはありませんでした。でも、この頃、本を読む時間を、無理やり取っているんです。ハリーポッターブームで、今まであまり本を読まない子が、厚い本にアレルギーを示さなくなったということもあります。中学になってからは、きっとみんなますます忙しくなります。だから、本に親しむこと・本は漫画よりも深いことを、知ってほしかったんです。

教室の本は、みんな僕の私物です。「はだしのげん」や「カムイ伝」「釣りキチ三平」「動物のお医者さん」などの漫画もありますが、文庫本・単行本もあります。6年生は、山中恒、井上ひさし、つかこうへい、灰谷健次郎の文庫本を、よく読んでいるようです。井上ひさしの「ブンとふん」など、僕的にはうんと懐かしいです。山中恒の「ぼくがぼくであること」は、何回も何回も読み直しましたっけ。ちなみに、室井滋のフアンの僕は、彼女のエッセイ集も置いています。これも、読まれています。また、先日、中島らものエッセイを買ってきたところ、少年たちの話題にのぼっていました。

ちなみに、学級の本は、いつでも貸し出しています。どの学年の人にも、先生方にも貸しています。帰りの会が終わってから、黒板に誰が何を借りるか書いて行き、返すときには、担任の僕に「持ってきたよ」と見せて、黒板の字を消すというルールです。基本的に、一泊レンタルです。金曜なら三泊。そういえば、何月頃だったでしょうか、ある先生が「カムイ伝」にはまって、よく借りていましたっけ。

さて、僕は、ダックス先生が気になって、さっそく給食時間に読み直し始めました。ああ、なるほどねぇ。う〜む、光栄です。