昨日へ     2003年08月09日   明日へ

僕が小学生の頃、夕張市役所別館の裏には「子犬のポスト」がありました。捨て犬ポストです。旭町に住んでいた僕は、いつもそれを覗いて通学していました。ときどき、入っているんです、可愛い犬が。捨てられた犬が。あるとき、いたたまれなくて、持ってきたことがありました。石炭庫に隠しました。けれども、鳴くんです。すぐに親に見つかり、戻すことになりました。大人は、何と残酷なことか!と、恨んだものです。

前の学校にいたとき、子犬や子猫をもらってほしいという話がありました。僕は、そんなとき「ごめんね、アパートだから、飼えないんだ」と断っていました。大人の言い訳だなぁと、恥ずかしく思いました。

今回、僕は、運命みたいなものを感じていました。最初「しばらく旅行に行くことが決まっているから、飼えないんだ」と言ったのは、もう断る理由にはなりません。むしろ、猫たちが、台風を呼んだんじゃないかと思うほどでした。アパートだから飼えないという理由は、もう家があるので、当たりません。むしろ、子どもももうできそうになく、ファミリーとして暮らしていくためには、メンバーが増えたほうがいいと感じていた矢先なのです。また、歌志内のFさんから「捨て犬捨て猫」に関わるメールをもらい、そのことを6年生みんなで考えたばかりなんです。昔、大人を恨んだ子どもだった僕。あのときの僕に、今の僕は何が言えるだろう?! 

鬱々していた僕に、連れ合いのぴよさんは、ぽつりといいよと言ってくれました。早く行ったほうがいいんじゃない? 僕は、頷き、四輪車で学校を目指しました。もう、台風は来ていました。風が強く、道路には木々の枝が散らばっていて、ワイパーも一番速くしなければならないほどでした。飼うという決断に、将来悔やむことがあるかもしれない。でも、飼わない、すなわち殺してしまうという決断で、後悔をしても、それは悔やみ切れないものだ。きっと、間違っていない! 僕は、学校への道を急ぎました。ジジの名前は、ピッチにしようと思いました。子どもの頃読んだ絵本「こねこのピッチ」から取ったんです。ババの名前は、まるちゃんにしようと思いました。彼女の顔は、髭むじゃらで、むっすりとしたその表情が、まるでマルクスだったからです。待っていてね! ピッチ、そしてまるちゃん!

学校に着きました。段ボール箱はありません。先日と同じように、棚の下にいるかもしれないと覗きましたが、いません。何も、何もありません。ジジ! ババ! 呼んでも、台風の風と大粒の雨に、空しいだけです。ああ、手遅れだった。きっと、土曜日曜とそのままにできないということで、処分された(殺された)んだ。

家に戻りました。戻る四輪車の中、「これまで通り旅行ができるじゃないか」と囁く自分がいました。それが、とても恥ずかしかった。

猫が好きな先生に電話をしました。一応、昨日、何か新しい展開があったかもしれないと思ったのです。すると、ジジは、ある子どもの家に引き取られることが決定し、ババは、別な子の家に一応様子見で預けられているとのことでした。ほっとしました。ああ、まだ生きている!

ほっとして、僕は、眠ってしまいました。眠って、夜になって、そのまま眠りました。驚くほどよく眠りました。

写真は、ババことまるちゃんです。

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