昨日へ     2003年08月23日   明日へ

朝方に眠ったのに、早朝に目を覚ましました。図書室で眠っていた自分に驚きました。そっと、みんなの様子を見に行きました。ほとんどの人が眠っていました。そりゃ、そうでしょう、ついさっきまで騒いでいたのですから。6時半を回り、朝食準備。いそいそとみんなで仕事をして、食べて、片付けて、解散。みんな、頭の上から眠たそうな魂が30cmくらい上を浮遊しているようでした。

あらかた片付けをして、僕も帰宅。天気がとてもよかったので、家へとバイクを走らせながら、昼過ぎにツーリングに出ることを決意しました。寝不足ではあるのですが、何とか夏休みの最後を「したいこと!」で締めくくりたかったのです。

ツーリング支度は、ぱぱっとできるもんです。月曜日の年休を取っていたので、2泊3日の予定です。テントは持ちません。身軽なもんです。今日の宿泊地を考えました。本当は、草津まで行きたかったのですが、昨晩よく寝ていないので、無理は禁物です。塩原あたりの秘湯に電話をしましたが、いい返事はありませんでした。3件目の福島・微温湯温泉二階堂で、OKが出ました。ちょっと近いし、先週の不動湯温泉の近所なのですが、しばらく行きたいと思っていた温泉なので、OKです。高校野球の決勝戦・宮城代表の東北高校がリードしているのをテレビで見て、バイクを発車させました。

とりあえず、睡眠不足の体ゆえ、早目に温泉に着こうと思いました。大和インターから東北道に乗りました。

いつもの風景を後にしながら走ります。歌があまり浮かびません。バイクに乗っているときって、書くことも、話すことも、音楽を聴くことも、食べることもできません。四輪車のようにシェルターに包まれていないものの、それでいて外界から隔絶した空間なんです。考え事をするとき、たとえば脚本のアイディアを練ったりするには、とても適しています。したことはないのですが、座禅のようでもあります。

いつもなら、座禅しつつも、僕の頭の中の自分に語りかける言葉は、冗舌です。なのに、今日はしんとしていて、つまらない時間が続きました。天気はいいのに、どうしたことでしょう。と、記憶が途切れました。...あっ! やばい! 居眠り運転です。時速100kmのバイクの居眠り運転は、やばいです。しっかりしろ!と、声を掛け、ブレイクするために、菅生のサービスエリアに入りました。お昼ご飯を食べていなかったので、うどんを食べました。うどんを食べながら、高校野球を見ました。結局、東北高校は破れました。見ていた人のため息を聞きながら、バイクに戻りました。CB750の同い年くらいのおじさんに声を掛けました。「どこまでですか?」 東京まで帰るとのこと。墓参りをしていなかったので、走ってきて、お参りしてそのまま帰るとのこと。眠くで仕方なく、サービスエリアの各駅停車。来る途中で、バイク事故を見てしまって、しかもまだライダーが道路に横たわっていて...そんな話を聞きました。「お気を付けて」互いに声を掛け合い、また本線に乗って走り始めました。事故は起こしてはならぬ。さすがに、眠ることなく、桑折で下り、先週走ったばかりの飯坂の道を行きました。

微温湯温泉は、土湯の一つ手前にあります。手前と言っても、国道から10km以上も、山道を行きます。不動湯や夏油とおんなじです。どんどん傾斜が急になり、道がくねり、雲に近づいていきました。

たどり着いた微温湯温泉。10年以上前に、確かDiversion400で来たことを思い出しました。あの頃は、温泉ブックに載っている温泉を一通り入るという目標がありました。いやぁ、頑張ったなあ。あのときと、雰囲気はあんまり変わっていませんでした。ただ、あのときは風呂に入っただけでしたが、今回は泊まりです。ぎしぎしと明治時代の建物の奥に招かれ、天井がとっても低い、けれども見晴らしのいい部屋に通されました。ほっとしました。

さあ、さっそくお風呂です。ここのお風呂は、とってもぬるいのです。僕が入ったときは32度でした。冷たくないってぐらいです。温めた湯船もあり、体が冷めたら、温かいほうに入ります。温度が低いので、ずっと入っていられます。僕は、結局一時間半入っていました。眠たい体の奥のほうが、ほっとしていました。

夕食は、別室でした。行ってみると、それはそれは本当に何もない部屋で、ちょっとびっくりしました。ああ、物がありましたよ、お茶セットとストーブ。夏なんですけど、ストーブはあったんです。

お膳を前に、僕は少し寂しかったです。話し相手がいるといいんだなぁと、思いました。子どもの頃、一人で留守番をした夜のことを思い出しました。夕張・旭町でのことです。それは、ご飯を一人で食べるときも「いただきます」と言うべきか、迷ったことです。あのときの、独りぼっちな匂いが、微温湯温泉の小さな部屋で、少しだけしました。

しかしながら、障子張りの部屋なので、隣の隣の隣の部屋でご飯を食べている人たちの声が届きます。どうやら山に登ってきた高齢者3名のようです。以前登った山のこと、職場のこと、今日の食事のこと...。僕は、遠い部屋のおしゃべりをおかずに、一人でご飯を食べました。

テントでどこかで泊まるときって、いつも誰かと一緒です。月と一緒だったり、ギターと一緒だったり、焚き火と一緒だったり。今日は、誰とも一緒でないゆえ、いろんなことを考えました。

部屋に戻って、障子に蛾がばたばたとぶつかる音を聴きながら、睡眠不足だった僕は、静かにすぐに深いところに沈んでいきました。

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