昨日へ     2003年08月25日   明日へ

奥日光で目を覚ましました。外に出ました。源泉を見に行きました。散歩した後、朝風呂に入りました。さっぱりしました。食事は、昨日と同じところで。これまたいい感じでした。

宿を出て、日光に下りました。途中の戦場が原で、鹿を見ました。ゆったりと草原の中をいく様子は、何となくアフリカを思わせました。

華厳の滝に行きました。ここは、数年前に寄りましたが、そのときはエレベーターには乗らなかったんです。今回はエレベーターで下に下りました。父さんと一緒に来た30年前の匂いが、少しだけしました。

日光で、僕はとにかく東照宮を見たかったんです。バイクを停める場所に苦慮しながら、東照宮に向かいました。入場料は1300円。ちょっと高いなぁと感じました。まずは、見猿聞か猿言わ猿。観光客がいっぱい。僕は、ツアーコンダクターの傍で、説明を聞きました。なるほど、子どもの成長に関わる猿だったんですね。余計なものを見ない・聞かない・話さない...。いやいや、いろんなものを見て聞いて話して、成長してもらいたいもんだと、僕は思いますよ。そういえば、僕の思春期のバイブルは、小田実の「何でも見てやろう」でした。本多勝一のルポルタージュも好きでした。旅してなんぼの人生の厚み。いろんな人と出会ってこそ、味ある暮らし。そんな思いは、変わりませんね。

東照宮は、思ったよりは感動は少なかったです。これなら金色堂のほうがいいなあ。鳴き竜も混んでいる中見ましたが、子どもの頃の感動が少なかったです。僕の感性が鈍くなっているのかもしれませんが。

日光からの帰り道。僕は、鬼怒川温泉の前を走り、川治温泉に向かいました。ここには、昔ながらの混浴無料露天風呂があると、ツーリングマップに書いていたんです。僕は、昔ながらの混浴無料露店風呂が大好きです。そのまんまの自然系がいいんです。しかしながら、行ってみると、混浴ではなくなっていました。また「無料」というのは、僕の読み間違い。あっさりと入らないことを決断して、道を北上していきます。

道は、会津田島に向かう国道です。三依あたりで、何か食べようと思ったところ「手打ちそば○○○」という看板が目に入りました。○○○は、僕の姓。何かの縁ということで、入りました。ざるそばを食べました。ああ、確かにこれは会津のそばだわ。

道の駅たじまで、会津織りのお財布を買いました。連れ合いぴよさんへのお土産にジャムを買いました。じりじりと太陽は、夏を演出しています。僕は、皮Tシャツを着ていましたが、タンクトップ一枚になりたい気分でした。

しかしながら、田島の町の向こうが、どうも黒い雲でおおわれています。こりゃあ、一雨来そうです。そう思ったら、もうすぐにぽつりと来ました。まるで気付かなかったら、延ばしてくれたものを、気付いちゃったから、じゃあさっそくねって感じです。しばらく我慢しましたが、大粒になってきたので、セブンイレブンにバイクを停めました。雨宿りです。きっと夕立。しばらく待てば、過ぎると思ったのです。

けれども、雨はだんだんと強くなるばかり。30分待ちましたが、雷も鳴る始末。僕は仕方なく、雨具を着て、出発です。さっきまで、夏を満喫しすぎたのかもしれません。借り過ぎたお金を、一気に催促されているみたいです。

雨は、まあ仕方ないのです。我慢はできます。風は嫌です。バイクが振られるから。でも、今日は風はなし。ただし、雷です。雷は、困ります。雨で死んじゃうことはなくても、雷なら一発です。四輪車に雷が落ちても、中の人は大丈夫と聞いたことがあります。バイクなら? 当然、ダメですね。僕は、昨晩、奥日光の夜の雷を鑑賞したことを悔やみました。ああ、きっとあの雷を、テントの中で不安に思っていた人がいたんだろうなぁ。そんなことを考えました。稲光からのカウントダウンを何回も何回も繰り返しました。何せ、右で光ったり、前で光ったり、左で光ったり。どうも、僕は雷ワールドの真ん中を走っているようなのです。暑いからと、タンクトップ一枚の上に雨具を着ました。皮Tシャツを着たほうが、電気を通しにくいのではないかとか、何だかそんなことを考えました。いや、そんなこと関係ない。落ちたら、おしまいだなぁ。また考え続けます。後の四輪車が道を急いでいます。もしも、ここで落雷したら、僕は運転を続けられず倒れ、後の車は僕をそのまま轢いてしまうだろう。ああ、やっぱり皮Tシャツを着ていたほうが、遺体の損傷は少ない。そんなことも考えます。真っ黒になった僕を、どこの誰だかと知る術は何だろう。ツーリングマップにメモしていた自宅の電話番号は、古川のままだ。まずいな。そんなことも考えます。真っ白にしぶきが上がっている舗装道路は、まるでかつての鰊漁が盛んだった頃の利尻の海。鰊の精子で海が真っ白になるという(僕がイメージするところの)風景のようでした。いろんなことが、頭を巡りながら、雷も雨も、容赦なく、僕はほとほと疲れました。

ガソリンスタンドに入りました。避難です。給油しました。トイレに行きました。店の人と、この雷雨は通るだろうかと話しました。風がないから、このままだと思うと、あっさりと残念なことを聞きました。ちょっと残酷って感じ。仙台方面に向かうことを話しました。ずっと雷と一緒じゃないですかなんて、どうしてそんなこと言ってくれるんでしょう。「少し休んでいきな」なんて言葉を、どこかで期待していた僕は、何だか辛くて、とにかくまた走り始めました。

本当は、塔のへつりに寄るつもりでしたが、通過です。湯野上温泉には「無料混浴露天風呂」があると、ツーリングマップに書いていたのですが、入る余裕はありません。芦ノ牧温泉の前を通りながら、ああ修学旅行に来たよなぁと、思い出しました。でも、停まりません。会津若松に入っても、まだ雷雨は止まず、ヨークベニマルで雨宿り。一休み。まったくため息ばかりです。

30分ほど雨を恨めしく見ながら、地図で行程の確認です。暗くなる前に、何とか宮城県に入ろう。今朝、奥日光の宿で地図を見ていた僕は「喜多方ラーメンで、夏休みの仕上げだな」なんて、気楽に考えていましたが、いやはやとんでもない。結局晴れない雲の下、僕はバイクを走らせ、磐越道に乗りました。磐梯河東から入り、スピードを緩めずに走りました。確かに、雷雲は一緒です。でも、少しずつ手加減してくれていて、だんだん生命の危険は感じなくなってきました。

東北道に乗って、とんとんと大和まで来ました。大和からは、いつもの道。2学期の始業式が始まる12時間前に、家に着きました。ああ、旅じゃったのぉ...

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