昨日へ     2003年09月24日   明日へ

何だか、うんと久しぶりに、普通の朝を迎えた感じです。いつも通りに、新聞を取ってきて、トイレで座り、いつも通りにヨーグルトを食べました。いつも通りが、始まって、ここのところの非日常が、すぐにリセットされました。

今日、学校に行くにあたって、何となくうきうき。それは、とりあえず劇の脚本を上げたから。五学年の先生に読んでもらって、違和感なく受け入れられたら、OK。できれば今日印刷をして、明日みんなで製本して、内容を紹介(僕の一人芝居)をして、明後日キャスト割り振りをして、来週には読み合わせを始めたいんです。演劇好きの僕としては、早いところ始めてほっとしたいんです。

今回のシナリオ(今日のところ版)です。これから、どんどん変わると思いますが、一応、載せておきましょう。

劇「ジイダ・ジイダ・マカナ!」

■01オープニング

面倒くさい。
学習発表会、
 面倒くさい。
劇をするって、
 面倒くさい。
セリフを覚えるの、
 面倒くさい。
勉強だって、
 面倒くさい。
学校来るのも、
 面倒くさい。
歩いてくるのも、
 面倒くさい。
朝起きるの、
 面倒くさい。
何だか、全部、
 面倒くさい。
世の中、全部、
 面倒くさい!
世の中、全部、面倒くさい!

■02無視する教室

セリフを、ぱっと覚えられる裏技とか、ないかなぁ。
それっていいかも。
練習なんてしなくてもいい裏技。
いいねぇ、それ。
伊藤家の食卓に期待する?
(ため息)そんなのないだろうなぁ。
(みんなで)ああ、面倒くさい。

宿題を、ぱっとやってくれる機械とか、ないかなぁ。
あればいいよね。居残りもしないで済むしね。
リモコンで、ぴっとやると、ぱっと終わるの。
いいねぇ、それ。
かばんから、ノートとか教科書とか、出さなくてもいいの。
いいねえ、それ。
ああ、明日の学校の用意を自動的にしちゃうなんて、最高だね。
いくらで、買えるかなあ。
(ため息)売っていればの話だけどね。
(みんなで)ああ、面倒くさい。

世の中、便利になってきているんだから、
もう少し何とかしてほしいもんだよ。
面倒くさいことだらけだ。
(みんなで)ああ、面倒くさい。

(そでからの声)早くご飯、食べなさい。
(みんなで)面倒くさい。
(そでからの声)学校に遅れるよ。
(みんなで)面倒くさい。
(そでからの声)ちゃんとあいさつするんだよ。
(みんなで)面倒くさい。
(そでからの声)将来の夢は、何ですか。
(みんなで)面倒くさい。
(そでからの声)好きな食べ物は、何ですか。
(みんなで)面倒くさい。

突然、入ってくる人。ノンにぶつかり、ジグソーパズルが、散らばる。一瞬、みんなが、そちらに向く。しんとする。けれども、入ってきた人は、拾いもせずに、話し出す。みんなは、ノンを手伝わない。

あったよ! 「お手軽手品100」! これさえあれば、もう学習発表会は、楽勝だ!
イェー!
どれどれ。なるほどね。
これは、お手軽。面倒くさい準備も、練習も、あんまりいらないね。やったね!

でも、おれたちは、バンドをやろうかなぁって、思っていたんだよな。全員で、手品ってわけにもいかないと思うし。
それなら、手品をやりたい人は手品。バンドの人はバンド。それでいいじゃない。話し合って決めるのも、面倒くさいし。
そうだね。
手品をやる人!
はーい!
バンドの人!
はーい!
じゃあ、決まりね。

ねえ(と言って、ノンを指さす)、どうする?
どうするって?
どっちに入れる?
えー!
ゆずるよ。
バンドのほうが向いてるんじゃない。こつこつとやるの好きみたいだし。
手品のほうがいいよ。面倒くさいこと、嫌がらないし。
この手品は、全部簡単なんですー。だから、お断りだね。
だいたい、面倒くさいって言わなくて、こつこつやっていくってのが、はっきり言って、きもいよ。
じゃあ、本人に決めてもらうことにしよ。
え? 誰が言うの?
あたし、嫌だよ、面倒くさい。
あたしも。
おれ、あいつ嫌い。
あたし、あいつと1年以上話してないもんね。
だいたい、おれ、声聞いたことないよ。
あたしも。
いいよ、あとにしよう。面倒くさいから。
そうだな。
おい、そろそろ帰ろう。野球始まるよ。ほら、監督来てる!
じゃあね! 
さようなら!

(ため息をつく)だれとも一緒にやりたくないよ。
(下を向いたまま)何でも面倒くさいって言っているやつらとは、何もやりたくない。独りぼっちで、十分だよ。さびしくなんて、ないし。

暗転

■03働くワークマン

ワークマンのテーマ曲・にぎやか・元気

われわれは
(みんなそろって)ワークマン!(斜め上を指さす)
とってもすてきな
(みんなそろって)ワークマン!(斜め上を指さす)
働き者の
(みんなそろって)ワークマン!(斜め上を指さす)
ちょっぴり、おちゃめな
(みんなそろって)ワークマン!(何かプリティに)

会場の皆さん
(ワークマンは、腕組みをして、堂々としている)
何と今日は、面倒くさがりの人ばかりが、よくぞこんなに集まりました。
いやはや、21世紀、面倒くさがりでない人を探すのが大変なくらい。皆さん、面倒くさい病にかかっていて、私たちは、もう大変なんです。
皆さん、一日に、何回
(みんなそろって)面倒くさ〜い
と、言っていますか。
考えてみると、20世紀よりも、格段に世の中、面倒くさい人用に改良されています。そのように見えます。
(みんなそろって)しかーし!
実は、われわれワークマンが、てきぱきと働いているだけなのです。
(みんなそろって)便利! 簡単! コンビニエンス!
その裏側を支えているのは、われわれワークマンなのです。
まーさーに! 現代社会の救い主。われわれは、もっともっと感謝されて当然なのですが、われわれワークマンは、すまっこ人生を信条としていますので、目立たぬ人生、渋く決める日々なのです。

では、われわれの活躍を、今日は特別に、公開しましょう!

まず、
缶コーヒーの自動販売機。
所ジョージの出てくるCM
朝には朝の缶コーヒー。
おはようございます!
目覚めの一本だ。
やばい、会社に遅れそう!
ええっと、120円と。朝には朝の缶コーヒーと。
自動販売機にコインを入れる動作 ボタンを押す。動作ストップ。自動販売機が180度、ターンする。その中には、ワークマンが入っている
えっ、何だって? ああこの缶コーヒーね。どれどれ、ちゃんと120円あるかな。えっと、50円玉と、10.20.30....あっ、ちゃんと120円、あるね。ほら、どうぞ!
自動販売機が180度、ターンする。
おっ、やっぱりお店のおばちゃんから買うよりも、自動販売機のほうが、早いね。
おおっ、遅刻だぁ!

次に、電卓の場合。
ああ、そろばんの宿題、やるの忘れちゃったよ。
やっべぇ〜
よし! こっそり電卓でやっちゃえ!
5135-4809=
電卓が180度、ターンする。その中には、ワークマン。
えっ! 難しいねぇ! やれやれ、ちゃんとそろばんで練習しろっていうんだよ。まったく。
小さい黒板に筆算をする。くりさがりのところでは、指を使って、何とか答えを出す。画用紙に、答えを書いて、提示する。
はい、どうぞ。
電卓が180度、ターンする。
なになに、326。次の問題は...

このように、われわれワークマンが、大活躍をしているんです。
えっ? ばれないかって?
大丈夫です。なぜなら、面倒くさい病にかかった人間は、凍りつくんです。
(みんなそろって)凍りつくんです。
面倒くさがっている時間、ずるをした時間、ずるをしようとした時間、凍りついているんです。でも、すぐに元通りになるから、凍りついたことには、全然気付かない。そして、便利だ便利だと、喜んでいるのです。

携帯電話など、大変です。
ワークマンが並ぶ。両端に、電話を持っている人
もしもし
伝言ゲームのように、「もしもし」を送る。顔の向きも変える。
もしもし
伝言ゲームのように、「もしもし」を送る。顔の向きも変える。
あたしよ
伝言ゲームのように、「あたしよ」を送る。顔の向きも変える。
あら、久しぶり
伝言ゲームのように、「あら、久しぶり」を送る。顔の向きも変える。
隣の客はよく柿食う客だ。
伝言ゲームのように、「隣の客は...」を送る。顔の向きも変える。
ん〜、やってらんないです! リーダー!
もう、われわれは、我慢できません!
そうです。人間たちは、面倒くさいばかり言っていて、
われわれの仕事が、増えるばかりです。
イライラして、こちらまで、面倒くさい病がうつってしまいそうです。
ストレスがたまって、眠れません。
限界です。
だいたい、われわれは、いつもすまっこでつつましく生きていて、
彼らに、感謝されることもないのです。くやしいです!
リーダー! 限界です!
何とかしてください! リーダー!

(ゆっくりとうなずいて)よし!君たちが言うことは、よく分かる。ここは、一つ、面倒くさいと言ってばかりの人間たちに、よくよく考えてもらおうじゃないか!

サブリーダーが言う。
人間には、楽をさせないこと! よし!
人間に、それを気付かせること! よし!
人間は、きっと自分たちの過ちに気付き、
俺達の、大変な仕事を楽にしてくれること! よし!
人間の時間を操れる俺達が、大活躍すること! よっしゃ!

われわれは
(みんなそろって)ワークマン!(斜め上を指さす)
とってもすてきな
(みんなそろって)ワークマン!(斜め上を指さす)
働き者の
(みんなそろって)ワークマン!(斜め上を指さす)
ちょっぴり、おちゃめな
(みんなそろって)ワークマン!(何かプリティに)
ワークマンのテーマ曲・にぎやか・元気

■04教室ストップ

掃除をしている。ほうきで掃く人、掃除機で掃除している人、ぞうきんで拭いている人。

ああ、面倒くさい。掃除なんて、しなくたって、死にはしないよね。
そうね。でも、机の中くらい、たまには整理したほうがいいよ。
げっ! 見たの? 勝手に?
だって、机運んでいたら、お道具箱が、落っこちてきたんだもん。
げげっ!
先月の大柳、まだおうちに持っていっていないことは、内緒にしてあげるよ。
げげっ!
あああ、何もかも面倒くさいよ!
ギターをいじって、掃除をしない人
ほら、面倒くさいって言っていないで、掃除しよう!

ワークマンが、やって来るが、みんなには見えない。
(ワークマンが、声をそろえて)ジイダ・ジイダ・マカナ!
シンバルを鳴らす。すると、みんなは、凍りつく。

ほっほー!
面倒くさいばかり言っているから、ほら、こんなにかちかちだよ。
じゃ、ちょっといたずらをしてしまえ!
ほうきと、ちりとりを交換する。
ギターと、掃除機を交換する。
ここをこうしてと、
ほらちゃんと持つんだよ
などど、交換中もいろいろ話している。
よっしゃ!
みんな、てっしゅうだ。

チャラランの楽器音で解凍する。

あれ?
どうしたんだ?
ぶつぶつ言いながら、掃除を終えて、教室に戻る。教室では、掃除を終えたみんなが集まり始めている。

ねえ、聞いてよ! 信じられないかもしれないけどね、ちりとりがほうきになったんだ。
え? 何言ってるんだ。
だから、ちりとりがほうきになって、ほうきがちりとりになったの。
ああ、面倒くさいけど、仕事は交代交代やったほうがいいよ。
そうじゃなくて! ねえ、みんな聞いてよ! ああ、何だか頭が痛くなってきたよ。保健室、行ってくる。(退場しながら)○○先生〜
○○が、わけの分からないことを言っていたけど、どうしたの?
うん、ちりとりがほうきになって、ほうきがちりとりになったの。
まただよ!
要するに、何かへんなんだ。
あんたたちが、へんだよ。
ギターをいじっていた人が、登場
掃除機がギターになったぞ。
え?
何で、掃除の時間にギターの話になるんだい?
あっ、やばっ
みんな、疲れてるんじゃないの。

ドンマイ先生のテーマ曲が流れる
あっ! ドンマイ先生だ!
ドンマイ先生、登場。
やあ、どうしたんだい?
困ったことがあっても、僕たちに明日はある!
ドンマイ!
元気出して行こう!
腕時計を見て、
あっ、会議の時間だ! じゃ、またっ!
と、退場。

ねえ、みんな、明日私んちに来てよ。
何?
面倒くさいなあ、何だい。
明日、私、誕生日だから。ケーキをみんなで食べたいの。で、これ、一応招待状ね。
へえ、いいねえ。
おめでとう。
そういえば、明日だ。
ああ、去年も呼んでくれたよね、ありがとう。
なんか、面倒くさいなぁ。
じゃあ、来なくてもいいよ。
いや、行くよ、ケーキに会いにいくよ。
じゃあ、見るだけね。
げっ!
みんな、わいわいと招待状を見る。にぎやか。誕生日の人は、ちょっと立ち止まる。ノンを見る。ノンは、ジグソーパズルをしている。一瞬、目を上げたときに、二人の目が合う。みんなも、しんとする。みんなも、ノンを見る。互いに顔を見て、目配せしている人もいる。誕生日の人は、一歩前に出ようとするが、そのとき
(いじわるっぽく)授業始まるよ
誕生日の人は、ぱぱっと、自分の席に戻る。ノンは、宙を見つめる。みんなは、わいわいとしている。

おれ、行くの、面倒くさくないよ

暗転

■05学習発表会ストップ

マジックショーのテーマ曲
さあ、皆さん、今日はようこそ、学習発表会の手品練習発表会にいらっしゃいました。私たち、○○小学校高学年手品クラブが、みなさんを、ミラクルワールドにご招待します!

みんなは、客席側にいて、観客。
イェー!

手品1をする。手品1は、首抜き。一度、自分たちでやる。
イェー!
次に、会場の本物のお客さんを連れてきて、やる。
イェー!
ご協力感謝の手紙を準備しておくこと。

手品2をする。ちょっとだけ、嘘臭いのを、やる。ミスターマリックの手品の簡単系を一つ。
イェー!

手品3をする。人間を消すマジック。さあ、次に、人間を消してしまうマジックです。椅子に、消える予定の人が座っている。近くには、段ボール箱が用意されている。その中に隠すのが、みえみえ。
ワン、ツー、スリー、はっ!
という瞬間に、
ジイダ・ジイダ・マカナ!
子ども全員が凍りつく。

ワークマンが、消える予定の人間を連れて行く。
そして、人間の代わりに、ぬいぐるみを置いていく。

チャラランの楽器音で解凍する。

人間がぬいぐるみに代わっていて、拍手喝さい。
すごーい!
でも、手品グルーブは、大慌て。
あれっ、どうしたの?
何で? どうしてこうなっちゃうの?
段ボール箱の中を見たり、きょろきょろしたり。

連れていかれた人間は、ギャラリーから手を振る。
おおい! どうして俺は、ここにいるんだぁ!?

観客から、拍手喝さい。
すごい! 
(声をそろえて)さすが! ミラクルマジック!

なかなかやるねぇ。どうやったのか、全然分かんなかったよ。
本格的だ!
困っている表情なんて、演技とは思えなかったよね!

ドンマイ先生のテーマ曲が流れる
あっ! ドンマイ先生だ!
ドンマイ先生、登場。
やあ、どうしたんだい?
困ったことがあっても、僕たちに明日はある!
ドンマイ!
元気出して行こう!
腕時計を見て、
あっ、会議の時間だ! じゃ、またっ!
と、退場。

さあ、次は、○○バンドの皆さんです。

まずは、ラップ。スクラッチ音をバックに、マイクを持った二人、または三人。

次に、金管楽器・木管楽器・あらゆる楽器で、誕生日おめでとうの曲をする。ソロをして、回して、みんなで合わせる。合わせた二回目に...

ジイダ・ジイダ・マカナ!

みんな凍りつく。楽器を交換する。小さい楽器が、でかくなる。楽器が楽器でないものになる。大根など。ほうきなど。ラケットなど。

チャラランの楽器音で解凍する。

(みんなで)いったい、どうなっているんだ?!

バンド道具の撤収をしている間、司会と解説者が、中央で話し合う。
ええ、解説の○○さんをお迎えして、お送りしております。○○さん、今のは、マジックだったんでしょうか。バンド演奏だったんでしょうか。
はい。マジックのようでしたけれど、えー、やっている人たちの驚きようは、驚きでしたね。えー、説明しきれませんねえ。
はい。何かの呪いではないかという声が聞こえているのですが、いかがでしょう。
そうですね。何者かの仕業と言えないことはないのですが、全く不可解です。

バンドの道具が片付けられて、フロアーは、野球場になる。司会と解説者が、脇に移動して、野球中継が始まる。
阪神タイガース対○○ジーウィングスの三連戦。三回を回ったところで、ピッチャー交代です。
ええ、ピッチャーが交代しましたね。
はい。もう少し、外周を走り込んで、スタミナを付けてもらいたいものですね。ターザンロープのところで、よく歩いている人がいますからね。
はい。
さあ、第一球投げました。ボール。外角に外れました。どうですか、○○さん。
はい。学習発表会も本番ということで、緊張しているようです。
振りかぶって第2球、ストライク!
バッターも、振ってきましたね。高目ねらいでしたね。
おっと、けん制です。ファーストには、ランナーがいます。俊足の○○選手です。
第三球をふりかぶって...

ジイダ・ジイダ・マカナ!

野球のボールが、大玉転がしの玉になる。ピッチャー、頑張って、振りかぶった状態で、それをキープする。ランナーは、走り始めて、止まっている。

ワークマンの一人・センが、止めようとする。
それは、やりすぎだよ! いじわるだよ!
いいじゃないか! リーダーだっていいって言っているんだ。
そうだ! このままじゃ、人間はだめになる!
そうだそうだ! 面倒くさいばかり言って、おれたちの立場も考えてほしいもんだ!
おまえ、こういう仕事が、面倒くさいと思っているんじゃないか。
そんなことないよ。
じゃあ、いいだろ。
ほら、こいつら、きっと慌てるぞ!
やりすぎだよ。ひどいよ!
だんだん疲れてきているみたいだから、急ぐぞ!
てっしゅうだ!

チャラランの楽器音で解凍する。
ひゃあ! どうなってるの?
暗転

■06ストップに気付く

教室の場面。みんないる。いつものすみっこに、ノンがいる。一人でジグソーパズル。
呪われてるって、誰かが言ってたよ。
こわい!
気持ち悪い!
何者かが、何かをしているというウワサだ。
足跡を発見した人もいるんだって。
誰が、何のために?
調べてみる?
こわい!
気持ち悪い!
面倒くさい!
そうだね、確かに面倒くさい。

ジイダ・ジイダ・マカナ!

ワークマン登場。センもいる。
また、言ってるよ、こいつら、面倒くさい面倒くさいって。
どうする? 何か交換とかしておこうか。
あっ、これほしかったんだ!
持っていこうとする。
やめろよ! やりすぎだよ!
いいじゃないか。リーダーだって、いいって言っているんだし。
誰かのものを、他の誰かの机に移動させる。

セン、ノンを見る。ノン、どきっとして、目を伏せる。
あれっ?
センは、ノンに近づく。

センは、ノンの肩をたたき、
君、凍っていないの
ノン、困ったように、顔を上げ、センの顔を見て、うなづく。セン、驚く。
君、君...

おい、てっしゅうだ!
急げ!

チャラランの楽器音で解凍する。

あれ? 俺のペンがない!
あっ、盗もうとしたな!
そんなことしていないよ。
だって、ここにあるじゃないか!
知らないよ。
もめるなよ!
知らないってば!

ノンは、静かに、みんなの様子を見ている。

ドンマイ先生のテーマ曲が流れる
あっ! ドンマイ先生だ!
ドンマイ先生、登場。
やあ、どうしたんだい?
困ったことがあっても、僕たちに明日はある!
ドンマイ!
元気出して行こう!
腕時計を見て、
あっ、会議の時間だ! じゃ、またっ!
と、退場。

一瞬、止まったトラブルもまた、続く。
知らないよ。
前から、気になっていたんだ。
違うって。

もめている中、暗転。

■07二人の出会い

真っ暗な中、中央に二人いる。静かな曲。
僕の名前は、センだよ。
君は?
ノン。
ねえ、ノン、君は、見てしまったよね。
頷く。
驚いた?
頷く。
僕も、驚いたよ。君だけ、凍っていないんだもの。
頷く。
僕たちワークマンは、君たちの面倒くさいことを、ずっとやってきたんだ。でもね、君たちの面倒くさいことが、増え過ぎて、もう耐え切れなくなったんだ。そこで、それに気付いてほしくて、少しだけいたずらをし始めたんだけど、だんだんひどくなってきた。
頷く。
だから、僕は、何とかしなくてはいけないと思っているんだよ。でも、僕はみんなから「弱虫」とか「いい気になっている」とか、仲間はずれにされている。だから、ちょっと辛いんだ。
仲間外れといったところで、顔を上げる。
それにしても、なぜ君は凍らないんだろう。
頷く。
あっ、そろそろ行かなきゃ。
残念そうな顔をする。
ありがとう。僕の話を聴いてくれて。ノン、君は友だちになれそうな気がするよ。ありがとう、ノン。

一人残されるノン。
セン。友だち。
暗転

■08またしてもストップ

ステージ中央に、人が集まる。
昨日の事故、呪いのせいらしい。
やっぱりか。
とうとう、殺されてしまったのか。
こわい!
次に、何が起こるか、分からない!
どうすれば、いいんだ!
原因を、突き止めよう!
でも、面倒くさい。
確かに、面倒くさい。

ジイダ・ジイダ・マカナ!

はっはははは!
そろそろ、みんな、俺達のこわさに気が付いたようだなっ!
さあて、今回は、何をしてやろうか?

センが走ってくる。
もうやめろよ! やりすぎだよ。いくらひどいことをしても、解決になっていないよ。昨日だって、昨日だって...
涙をぬぐう。

あまったれているんじゃないよ!
こいつらに、どれだけ振り回されてきたか。おまえは、忘れたんじゃないだろうな。面倒くさいとばかり言って、俺達がどれだけ苦労してきたか。思い知らせてやるんだ! こいつらはみんな、敵なんだ。敵なんだ。なっ、みんな!
おー!

ワークマンの作業中、センが走っていって、てっしゅうする前に、センが勝手に鳴らしてしまう。チャラランの楽器音で解凍する。
うわあー!
ワークマンもみんなも、驚いて、逃げる。センとノンだけが残る。

ノン、このままじゃだめだ。力を貸してくれ。
頷く。

下手に走っていく。
暗転。

■09魔法の神さま

二人は、ギャラリー南側にいる。
ノーン! 気をつけてなっ!
ノーン! もうすぐだ!

ギャラリー西側へ移動する。
もうすぐ、魔法の神さまのところだからなっ!

西側のステージに至る階段上の扉を、センは叩く。
神さま! 魔法の神さま! お願いがあって、来ました。
神さま! 魔法の神さま! 出てきてください!

扉が開く。
そろそろ来るころだと思っていましたよ。よく来た、セン、そしてノン。君たちは、勇気ある人です。

神さま

全部、見ていました。セン、君が言う通り、みんなやり過ぎです。争いごとを多くしても、解決はしない。自分のことばで、話すべきです。確かに、面倒くさいとばかり言っているのは、よくない。人は、何でも、簡単にできると錯覚している。そして、自分の能力がアップしたかのように、うぬぼれている。このままじゃいけない。どんなものも、必ず人の手によって作られていること、人の気持ちを思いやること、感謝することを忘れてはなりません。

神さま、どうすればいいでしょう。

よし。二人に、この魔法をさずけましょう。耳を貸してみなさい。

ごにょごにょごにょ。

よいですね。
はい!
セン、ノンがいて、よかったですね。
はい!
ノン、センがいて、よかったですね。
頷く。
仲間を、大事にな。健闘を祈っていますよ!
はい! ありがとうございました。
はははははっ

扉が閉まる。
暗転。

■10鍋のフタ

ステージには、子ども。フロアーには、ワークマン。
フロアー中央に、ノンとセン。
こっそり替えておいたから、大丈夫だよ。その後の仕事、しっかりやろうな、ノン。
頷く。

ワークマンが話す。子どもたちには、聞こえない。
われわれは
(みんなそろって)ワークマン!(斜め上を指さす)
とってもすてきな
(みんなそろって)ワークマン!(斜め上を指さす)
働き者の
(みんなそろって)ワークマン!(斜め上を指さす)
ちょっぴり、おちゃめな
(みんなそろって)ワークマン!(何かプリティに)

今日は、何が何でも、子どもたちに、面倒くさいとは言わせないように、スーパービッグな事件を起こしてやろう!
じゃあ、みんな、行くぞ!
せぇのっ、ジイダ・ジイダ・マカナ!

いつもはシンバルなのに、今日は鍋のフタ。
フタの音で、子どもたちも、ワークマンも、みんな凍ってしまった。

出てくる。二人。
やったぁ!
喜んでいるひまはない!
うん! 
二人で頷いて、子どもとワークマンの手をつながせる。パントマイムで、ひもがワークマンにつながっているようにして、ひっぱって来る。子どもも移動させる。みんな、正面を見させる。
BGMは、オルゴール。

よし。これでいいかな。
頷く。

チャラランの楽器音で解凍する。

■11二人の仕事

うぉーなんだ!
あんた、だれ?
何をしているの?
おまえは、いつも面倒くさいと言いやがって
などなどと、混乱する。つかみ掛かろうとする人もいる。

センが困る。おろおろする。すると、ノンが大きな声で叫ぶ。

聞いて! 聞いてよ!
みんな、ずるいよ。自分が困っていると、助けを求めるくせして、誰かが困っていても、何もしない。何でも、人のせいにして、知らんぷりをする。いいかげんにしてよ。
こつこつと静かにパズルをして、何か悪い! 何かと言えば面倒くさいだの、むかつくだの、びみょーだの、あいまいなことばかり言って、イライラするのは、こっちだよ! 面倒くさいばかり言う君たちには、やりとげた達成感なんて、分からないだろう。君たちは、僕をいじめる。でも、僕はいじめるつもりはないよ。こうやって、自分のことばで、きっちりと言うよ。僕のことだって、考えてよね。
君たちだって、そうだ。自分たちばかり、働いていると思って、うぬぼれるんじゃない。こっそりと魔法など掛けるなよ! 堂々と、正面から、訴えろよ。自分の言葉で、話せよ。
僕は、あきらめないよ。みんなで、何とか仲間になろうよ。もう仲間外れを作ったりしないでよ!

一気に叫んで、がくっと崩れて、涙を流す。センが近寄る。

仲間は、大事、大事。ねっ、みんな、気付いて! ほら、ノン、大丈夫だよ。

みんな、静かに、思い思いに、握手をしたり、静かに訴えたり、頷いたり、ノンに誕生会招待状を渡そうとしたり...。

ノン、立ち上がる。

■12エンディング

勇気を出したね、ノン。
うん。センがいたからだよ。センのおかげだよ。
セン、ありがとう。

中央に群読体制。
笑う
歌う
はしゃぐ
話す
聞く
仲間!

打ち明ける
頷く
けんかする
打ち解ける
謝る
仲間!

うれしいことを分かち合う。
違う意見を闘わせる。
よくないときは知らんぷりしない。
いつも自分の言葉で素直に話せる。
仲間!

一人でいるときも、
心の中に仲間がいる。

ジイダ・ジイダ・マカナ!
仲間・大事・大事!
あなたの心には、仲間がいますか?

「情熱の薔薇」
間奏

本日は、○○小学校学習発表会をご覧いただき、ありがとうござました。
ありがとうござました。
一二年生の劇「 」・・
三四年生の劇と演奏「 」・・
ブラスバンドの演奏・・
そして、私たち五六年生の劇「ジイダ・ジイダ・マカナ」
いかがでしたか。
私たちは、これからも、仲間と共に、たくさんのことに挑み、汗を流し、励まし合いながら、強くなっていきます。ますます元気になります。どうぞこれからも、応援してください。
本日は、ありがとうございました。

「情熱の薔薇」エンディング。

ブザー、幕。

写真は、9/23池袋の朝です。

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