昨日へ     2003年12月03日   明日へ

イラクへの自衛隊の派兵に、僕は反対です。「自衛隊が危険」だから、反対なんです。しかしこれだけだと、僕の考えはうまく伝わらないかもしれません。ここのところのマスコミでの議論を見ると「自衛隊への危険」が取りざたされていますが、僕は「自衛隊による危険」言い換えるなら「自衛隊による攻撃」を危惧するのです。

たぶん、自衛隊の安全を保障するためには、自衛隊員がどんな武器を持つかが議論されるでしょう。武器を持つということは、それを使うことが前提になります。どう使うかというと、自衛隊員の命を守るため。すなわち、イラクの人々を傷つけるために使うことになるでしょう。どんな武器を持つところまでを許可するかという線引きは、極めていい加減な判断によるでしょう。なぜなら、どんなことが起こるか分からないのです。もしも僕が「行け!」と命令されて、それを拒否することができず、強制的に連れていかれたなら、しかも自衛隊員としてイラクの土地を踏まなければならないとしたら、「非武装で大丈夫」とは言わないでしょう。「ピストルがあればいいです」とも言わないでしょう。とにかく最善の対策を立てることを要求するでしょう。命が大切です。

自衛隊が、武器を手にイラクの土地を踏んだら、きっと攻撃されます。攻撃されたら、応酬するでしょう。いわゆる武力の行使です。いくら「正当防衛」と言っても、イラクの人々は納得しないでしょう。まだ戦争は終わっておらず、侵略するアメリカ軍は依然として支配し続け、破壊を繰り返し、日本はその仲間として登場するわけですから。正当防衛などではなく、日本もまた侵略者にしかならないのです。それは日本が侵略の歴史をまたしても踏んでいくということになるでしょう。自衛隊への危険が問題なのではなく、自衛隊が危険なのです。

今、イラクでどこが「安全か」または「比較的安全か」が調査・検討されています。おかしなことです。要は「アメリカの味方として、登場したよ」「金だけでなく人も送ったよ」という事実だけを作りたいのです、日本政府は。しかも「怪我をしない、安全なところじゃなきゃ行かないよ」と言っているのですから。

僕は、この安全の線引きにも、悲観的です。日本国内では、イラクを遠いところとイメージしていると思います。そして、その距離感覚は、出来事のリアルさをも欠かしているように感じられます。けれども、イラクへの自衛隊の登場が、きっと日本を「安全」ではない状態にしてしまうでしょう。親アメリカへの攻撃は、イラクの国境を越えているのです。tokyoも当然、ターゲットです。イラクのどの町は安全などと悠長なことは言っていられません。報復は、必ず日本を「非安全」な日常に追いやるでしょう。

では、どうすればいいのか。単純と言われるかもしれませんが、僕の考えは簡単です。まず、アメリカ軍が撤退する。イラクの自治が成立する。そこへ文民が支援に行く。それだけです。

甘いと言われるでしょう。でも、これが日本の立場なのだと思います。殴り合いで物事は解決しないから、話し合いをしようというのが、日本の本来の立場なのです。どの国家も、暴力で何とかしようとしてきたのです。日本も同様に、暴力で支配をし、自分の思い通りにしようとしてきました。けれども、それは失敗でした。たくさんの人を傷つけました。だから、反省しました。暴力で襲ってくる相手に、話し合いをしようと言うのは、うんと勇気がいること。けれども、その道を選んだのが、本来の日本なんです。話し合いは、簡単ではない、時間もかかる、思い通りに行くとは限らない。けれども、暴力は解決を導かない。暴力だらけの中で「私はもう暴力を持たない」と宣言したはずなんです。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。(日本国憲法前文・後半の部分)

自国のことのみを考えてはいないか。アメリカとの関係のことしか考えていないのではないか。あえてきれいごとを行動に移していく勇気こそ、今必要なのだと思っています。

だから、自衛隊を派兵させてはいけない。僕は、戦争反対です。

写真は、11.23の夕張での1枚。冷たく重い風が小屋に吹き込むものですから、猫くんは風の当たらないオイル缶の中に避難していたんです。

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