昨日へ     2004年01月03日   明日へ

今日は、休養日です。何も予定を入れていなくて、のんびりとする日。今年もきっと「見る前に跳べ」の僕ですが、「見る前に跳べ。でも、ときどき休め」って具合に行きたいものだと思っています。体力的に、そして精神力も、そうそう強くはないものですから。まあ、そう言いつつも、ジーサンバイク(BMW R1100GS)のエンジンに火を入れてやり、久しぶりにバババッと、走ってきました。鹿島台で、白鳥たちを眺めて、ぐるりと回って来ました。

台湾に行って、いろんなものを見て、聞いて、匂いを嗅いで、いろんなことを考えました。まあ、慌てずに、ぽつらぽつら書こうと思っていますが、その一つ「生い立ち」というものについて。

台湾の学校制度って、どうなっているのか分からないのですが、何となく六三三制とは限らないだろうなぁって、台湾の地下鉄に乗っていて、気付きました。それは何も台湾に限ったことではなく、それぞれの国でそれぞれの制度があったりなかったりしているんですよね。僕は、これまで何となく「小学校→中学校→その時点で15歳」というものを、「あたりまえ」にしていました。けれども、そんなことはないんです。

台湾に着いた夜に、夜市でぴよさんが臭豆腐を食べました。台湾の名物の一つなのですが、彼女は食べられませんでした。僕は、体調が悪くて、冒険をしませんでした。臭いが、すごかったものの、味もまたすごくて、口に合わなかったようでした。でも、台湾の人は「おいしい!」と言って、食べます。何であんなに臭いものを!という感覚でいたのですが、考えてみると、それは一方的な言い草です。納豆然りなんです。納豆の場合は、何せ糸まで引くのです! しかも、わざわざご丁寧に練って練って糸だらけにしたりします。台湾の人は「信じられない!」と感じるかもしれません。ああ、僕の「あたりまえ」は、僕だけのあたりまえに過ぎなかったんです。

台湾で、街行く人は、冬の装いでした。気温が20度もあるのに、ダウンジャケットを着ているんです。驚きでした。僕は、半袖Tシャツ1枚になろうかなってくらいなのに。台湾の人にとって、今は冬。だから、そういう装いなんです。それでいて、あちこちクーラーが入っているのは、まあご愛嬌でしょう。

しかしながら、北海道で暮らしていた頃の僕は、冬休みに東京に来て、みんな夏と同じ靴を履いていることが驚きでした。そして、今回の台湾同様、雪も降っていないのに、なぜオーバーを着るのか、まさにオーバーだなぁと感じたものでした。高校時代の僕たちは、学生服の上にアディダスもどきのウィンドブレーカーを羽織るだけでしたから、吹雪の氷点下でも。

何が「あたりまえ」なのかは、人それぞれの文化・環境によります。自分と違う感じ方・考え方をする人がいることを知ること、理解することは、とても大切なことと。そう実感した、この旅でした。

さて「生い立ち」です。「あたりまえ」の基礎基本は、小さい頃に身に付いています。そして、小さい頃の「あたりまえ」は、しっかり身につきます。たとえば、言葉がそうですが、考え方もまた、真っ白なキャンバスの下地となって、その人を作ります。台湾ですれ違った僕と同じくらいの年齢の男性。彼は、この国で40年あまりを暮らしてきたのでしょう。子どもの頃は、どんな遊びをしたでしょう。どんなものを食べ、どんなお爺さんお婆さんに、どんなことを褒められ、叱られてきたことでしょう。あたかも「その人」を理解したように感じているときも、その人の下地となっているもの・生い立ちは、一見するだけではよく見えず、それをも理解したいものだと感じました。そして、理解したつもりでいても、自分と同じようであると感じていても、実際は異なる「生い立ち」の上に、今のその人自身を載せているんです。そんなことを、台湾で考えました。

しかしながら、考えてみると、それは「日本」という列島で暮らし、日本語を話す人同士にも言えることかもしれません。幼い頃、どんなものを食べたか、どんなふうに食べたか、どんな季節の中で、どんな苦労をしたか、どんな苦労が苦労で、どんな苦労が苦労ではなかったか...。そんなことを考えると、人を理解するなど、難しすぎて、到底無理であるかのようです。そう、無理なんです。理解するなどおこがましい! みんな、世の中の人は全て、自分と違う人なのですから、その違いを、受け入れられるかどうかなのだと思います。受け入れるのには、期限はないです。出会って30日以内に受け入れなければならない...なんてことはないので、違和感をいっぱい実感しながら、受け入れる(受け入れてもらう)時間を、過ごすんです。何となく、そういうのが、人生だったり、世の中だったりするんじゃないかなと、考えています。ああ、人生はなかなか面倒臭い、そして退屈しないものですね。

最後に一つ。「生い立ち」のことを考えながら、教員って仕事は、まさに子どもたちの「素地」に関わる仕事をしているわけで、かなり真剣でなければならないぞと、あらためて感じたりしています。

写真は、12.29の台北・中正紀念公園の夜景です。

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