昼前に、松山町から2台の四輪車が、仙台空港に向かいます。1台は、僕が運転する黒い車。もう1台は、連れ合いぴよさんが運転する赤い車。今日、北海道の父さん母さん、僕の妹二人、甥っ子二人が、仙台空港に降り立つんです。
三陸道はスムーズでしたが、空港の駐車場が満車でした。日帰り利用者用の駐車場に2台停めて、急いで到着ゲートに行きました。父さん母さんと僕の妹二人、そして甥っ子二人のみんなで六人。大人としては、昨日の続きみたいに話しながら歩けるのですが、小学2年の甥っ子兄ちゃんと、保育所年中さんの甥っ子弟は、初めは僕を見上げるばかりでした。ちなみに彼らは僕を「バイクのおじさん」と呼びます。
さて、仙台空港から2台の四輪車で、三陸道を走り、大郷で下りました。松山町の家に行く前に、おすすめのおそばをごちそうしたかったんです。大和町の「晴れたらいいね」です。以前、石臼で蕎麦粉を挽くところから見せてもらい、それはそれはおいしいおそばを頂きました。あそこにもう一度!なのです。北海道で生まれ育った父さん母さんは、瓦屋根の家を見るだけで感激です。新緑なだけで、嬉しい様子。田んぼの中に、古い石のお墓みたいなのがあるだけで、すごいすごい!と言っていました。ん〜、気持ちは分かるよ。僕は、もうすっかり内地の人。宮城県人です。
「晴れたらいいね」に着いて、犬を触り、石臼などを見せてもらいました。民家そのものの「晴れたらいいね」は、とてもくつろいだ雰囲気なのです。しばらくして、席に着き、自家製の漬け物を頂きながら、そば茶を飲みました。そして、天ぷら。季節の天ぷらなので、たんぽぽの花や、つくしも揚げてありました。これがおいしいんだなっ! そして、いよいよおそば。ああ、ここは太鼓判です。蕎麦掻きを揚げたおかめを頂き、そば湯で仕上げ。ああ、ごちそうさまでした!
「晴れたらいいね」を出て、四輪車はすぐに松山町の家に着きました。甥っ子たちは、やっと元気が出て、あれこれと探検します。僕の妹と、田んぼの脇の水を見に行きました。北海道から来たと言っても、札幌の子なら都会っ子ですな。今日は、家泊まりなので、女川まで食材を買いに行こうかという話もありましたが、甥っ子たちの疲れもあるようなので、三本木の温泉・三峰荘に行くだけにしました。
三峰荘に、じいちゃん(僕にしてみれば父さん)と、甥っ子二人で入ります。ほどほどに混んでいて、僕はいつものように露天風呂です。甥っ子二人は、そろりそろりと露天風呂に入り、なかなか静かにしていました。
さて、体を洗おう! どれ、こっち向きなっ!と、洗おうとしたのですが、むむっ待てよ、この子たちは自分でできそうだと、体洗いタオルを渡したら、きびきびではない調子で、でも真面目に体を洗いました。僕は、桶でざばっとお湯を掛けます。嫌だとも何とも言わないのは、バイクのおじさんが怖いからかもしれませんが、保育所っ子特有の逞しさかもしれません。「じゃあ、頭も洗うぞ」 すると、甥っ子兄ちゃんも弟も、耳をうまいことふさいで、頭を下げてしゃがみます。たいしたもんです。兄ちゃんをバイクのおじさんが、弟をじいちゃんが、シャンプーでがしゃがしゃ洗います。ああ、子どもの頭って、小さいんだなぁ〜 無言で、揺らされる頭に負けずに、しゃがんでいる二人。僕は「かけるぞ」と言って、お湯をばしゃ〜!と掛けます。彼らは、じっとしています。何度か、ばしゃ〜! 逞しいもんです。彼らのお母さん(僕にしてみれば妹)など、しばらく頭からお湯を掛けられることができなくて、よく泣いていたものだったのになぁ〜。
すぐに「上がる」と言うかと思っていましたが、露天風呂の回りに敷いている砂利をしゃがんで見つめる彼ら。いい石を見つけて、じいちゃんに見せます。「これは、なかなかめずらしい石だなぁ」じいちゃんが褒めます。なるほど、珍しいという言い方が「価値がある」という意味なのね、とじいちゃんの息子の僕は聞いていました。確かに、化石探しが趣味だったじいちゃんにしてみれば、「珍しい」は「価値のあること」ですわな。それゆえ、小さい彼らは「これ、めずらしい?」と聞くわけですな。ふむふむ。結局、おたまじゃくし型の石と、イルカ型の石、鉛筆型の「めずらしい」石を、彼らはゲットしてきました。三峰荘さん、すんませんです。長湯でした。でも、これは僕のせいじゃない。むしろ、彼らに合わせて入った長湯でした。いい湯だったねぇ〜。
家に帰り、ご飯です。お子様メニューで、昨日作った(僕としては失敗の)カレーを食べます。サラダなども、ぱっぱと作り出します。わざわざ持ってきてくれたサッポロ・クラッシックビールを飲み、なかなかの晩餐でした。しばらくしてから、昔の写真ネガをデジタルにしたものをみんなで見ました。いやぁ、みんな小さかったねぇ。仕事を一段落させた父さんとしては、懐かしい限りだったんじゃないかな? そうそう、忘れるところだった!と、僕はギターを弾いて歌いました。ハーモニカと共に、卒業を祝う会でやった「虹の彼方に」 歌本を広げて、何となくカラオケムード。母さんが積極的に歌おうとしていたのには、なんか感動したねぇ。そんなこんなしながら、とてもファミリーな、幸せな夜は更けていきました。
写真は、奥松島の父さんと僕。どちらも、おじさん以上です、まあもちろんなんだけどね。