昨日の学級会の黒板は消さないでそのままにしていました。1時間目から昨日の続きです。
終業式前日、転校するSちゃんを中心に「今よりももっと仲良くなる」というめあてで、何をするか、どう過ごすかという話し合いです。私は、最初から挑発します。「やっぱり、かんさんかんさんがいいよ!」 すごい反応! もう嵐と言った感じです。ブーブー言うだけじゃなくて、きちんと反論するのが、みんなのすごいところです。
しかしながら、レクレーションをするかどうかについては、まだみんな一つにはなっていないんです。「けがをするからやめたほうがいいと思います」という意見は一部で根強く、論議が続きます。ふと、空気が少し変わりました。Sちゃんが「けがなどをするかもしれない」と動いたんです。すると「Sちゃんが決めたらいいと思う」という意見の人たちにも動揺が走り、さあどうなるか?って感じになりました。
こういうときは、がっちりと揺さぶりを掛けます。「やっぱり、かんさんかんさんしかない! 自分の席に着いて、静かに学習するのが、一番安全です。私も楽しい授業を心掛けます」...まあ、これだけじゃ説得力はないですね。でも、「かんさんかんさん」阻止は、全員一致という雰囲気はできました。なぜかんさんかんさんはダメなのかを、みんなが話します。僕は「むむっ」と言ったり、「でも、けがをしては困ります」とか「その場合でも、けがをするかもしれません」と答えます。
そろそろ時間だなというところで、話しました。「もう時間切れです。みんなの気持ちが一つにはならないようなので、かんさんかんさんにさせていただきます」 大嵐! 「ちょっと職員室に用事があるので行ってきます。5分くらいで戻ります。もしも、みんなで話をまとめることができるなら、まとめてください。ばらばらなら、やっぱりかんさんかんさんね」 一瞬しーんとして、僕が黒板の前から歩き出すと、わっとみんなが動きだしました。さあ、どうなるかな?
職員室に行って、時計を見て、さぁて戻りましょう。中庭から回って、外の窓からそっと教室を覗くと、意外や意外! みんな席に着いているじゃないですか! 玄関の靴箱に登って、そぉっと(でも、誰かに見つかるように)顔を覗かせます。あっ、やっぱり(というか、予定通り)見つかりました。「あっ、あそこでのぞいてる!」 僕は教室に入ります。みんな、それはそれはキラキラお目目です!
「話は、まとまりませんでしたね!」「いいえ!」「やっぱり、かんさんかんさんということになりましたね!」「いいえ!」「で、どうなったの?」 結局「けがが心配」派は、説得されてレクOKということになったそうです。「本当にいいの?」と聞くと、にやにやしながら「いいです。だいじょうぶです」だって。ありゃ、あんなに頑張ったのにねぇ... でも、み〜んなが幸せそうな顔だったので、僕も幸せ。ほっとしましたよ。
ちなみに、多数決って、まず取らないです。「意見も言わずに、ただ手を挙げて、何がみんなで決めたなんて言える!」なんて、春の頃に言いました。多数決は禁止していないんですが、納得の行く話し合いを、まずは追求させているってところですかね。
6時間目に、クラブ発表会。スポーツクラブの発表は、今週の業間に体育館で集まって決めた突貫工事の内容。ステージの上で後ろ姿で登場して、一人ずつ「イェイ」と振り向いていって、「わー!」と下に降りてきて、「スポーツクラブ!」と声を合わせて決めたり、一人ひとりがバスケットゴールやサッカーピン倒しを声援を受けながらやるのは、なかなか盛り上がりよかったな。勢いと楽しさと一人ひとりが注目されるってこと、大切ですね。そうそう、BGMも大事ですね。今回は、ロードオブメジャーでした。
1時間年休を取って、東北道で仙台に向かいました。東北大学の学生集会に参加するためです。東京で「日の丸・君が代」の強制に反対して、不起立で処分された太田さんの講演があるんです。
久しぶりの大学キャンパスでした。太田さんのお話の前に、全国の大学の学生が、自分たちの大学の状況を話しました。どの大学でも、サークル活動が規制されたり、寮が潰されたり、自治権が侵されそうになっているということでした。そんな状況に、互いに手を繋いで闘う姿は、頼もしいかぎりです。
僕が学生の頃のイメージだと、学生でもマイクを持つと、いわゆるアジテーションっぽい言い方が多かったように感じます。でも、今日は、普通の学生が普通に話している印象でした。しかも、その内容は本当に自分たちで頑張っているんだというもので、僕はとても好感を抱きました。場慣れして、それっぽい言葉であるよりも、自分の言葉は大切だ。そう感じたんです。
東北大学でも、有朋寮が潰されようとしている中、たくましく温かい雰囲気の寮生諸君が頑張っています。サークル活動の規制攻撃に対しても、一つひとつのサークルが、自分のサークルさえよければいいということなく、団結しています。いい感じじゃん! 僕が白石の小学校で担任した子どもたちも、みんなこのくらいの年齢になっているんだよなぁと、なんかそんな親心みたいな気持ちで、階段教室の椅子に座っていました。
被処分者の会の太田さんの話は、とても明瞭! しかも「元気をもらう」って、こういうとき使う言葉だねって感じのお話で、よかったです。不当なことに黙らないこと。大切。闘いを続けること、大切。またどこかで太田さんには会える気がしています。
学校現場からの発言ということで、僕も話させてもらうことになっていました。5分という時間なので、状況だけ簡単に話そうと思っていたのですが、止めました。言いたいことを、学生諸君に伝えたいことを話すことにしました。
「表現の自由」そして「良心の自由」。これらへの攻撃は「自粛」によるもの。表現することを禁止されることよりも、表現しようとしなくなることが、危険。前の天皇が死にそうだったとき、「自粛」ばかり。セフィーロという車のCMで井上陽水が「お元気ですかぁ〜」って言っていた。それが、天皇の体調が悪いからと、声なしのCMになった。こつこつとしたそんな権力側の取り組みが、功を奏しているのかもしれない。学校現場では、評価制度。こんなこと言うと、「不適格」と思われるかもしれない、こうすれば評価が低くなるかもしれない...と「自粛」する・させる動き。いやいや、おかしいことはおかしいと、自分のことばで表現していきたい。3月1日の戸田さんの裁判の傍聴に来てほしい。
だいたいこんなようなことを話しました。黒板があるので、チョークも使いました。マイクは、途中で置いてしまいました。話してしまってから、あれこれと反省するのは、いつものことですが、あれこれやっぱり反省です。
学生が元気であるって、うんと大切なことだと感じた今日でした。また、セフィーロの陽水を知らない学生諸君の顔を見ながら、10年前20年前の歴史を聞く機会がないことを知りました。語り継ぐ場もないのかもしれません。まさに教科書に載っていない近現代史。どこかで書いたり話したりしなくちゃいけないなと、お爺さんみたいですが、感じました。
写真は、今日の書き初め練習の時間です。二人組になって、互いにコーチし合って書くんです。「おいて、立てて、まっすぐおろして..」と声に出して、コーチし合うんです。めいめい書きっぱなしよりも、集中できるようです。