石垣の朝は、頭が少し痛かったです。やっぱり昨晩、調子に乗って、飲み過ぎました。「甘梅一番スッパイマン」ドリンクを買って、埠頭で飲みました。
今日は、西表島に行こうかと言っていたのですが、カヌーリバーツーリングの余裕はなさそう。そこで、黒島に行くことにしました。昨日の竹富島の印象がとてもいいので、もうモトは取った気持ちです。
黒島は、真っ平らな島。牛の島。そして干潮になると、サンゴ礁を歩いて見られる島。埠頭の釣り具屋さんで、連れ合いぴよさんはネオプレーンでできた海用シューズを買いました。僕は、もともと水用シューズなので、そのまんま。
船に乗り込みました。観光客は少なく、慣れた感じの乗客は、船の後のほうに座ります。僕たちは、空いているので、真ん中へんに座りました。黒島までの30分。例によって、高速船は飛ばす飛ばす! バンバンとジャンプします。がんがんと揺れます。なるほど、前のほうは跳ぶのですが、後ろはそんなに揺れないんですね。慣れた乗客が後ろに乗っているのが、理解できました。きっと「ああ、何も知らない観光客だ」と思われたことでしょう。
黒島は、竹富島よりも観光って感じじゃなく、普通の離島でした。
切符売り場の前におばあがいて、レンタサイクルと書いた紙を持っていました。借りたいことを伝え、切符売り場の後ろに行きました。「何時に帰るの?」「3時くらいかな」「じゃあ一日だから、1000円ね。どれでもいいよ」 僕は適当に自転車を選んだら「ああ、そりゃだめ。それ人のだから」 ...どれもおんなじ感じです。船を使う人の駐輪とごちゃごちゃなんです。ひょっとしてひょっとすると、しばらく出掛けている島のだれかの自転車をレンタルしているってことはないでしょうねぇと思いながら、これまたテーゲーな島の感覚に、和むのでした。
ちゃりちゃりと自転車で行きます。いやはや、牛だらけ。黒い牛さん。のびのびと草をはむはむしています。牛が放牧されている原っぱには、いっぱい沖縄式のお墓があったりします。ぽつんとガジュマルがあったりします。ジャングルのようなところにも、牛さんはごそごそといっぱいいて、思い思いにだらだらしています。あれっ?と思うと、なんとクジャクです! いゃあ、びっくらこいたぁ! 野クジャクが、ばさばさと走っていくんです。僕を見て、隠れたつもりですが、派手ででかいので、たいして隠れていることにはなりません。そうそうしているうちに、ばさばさっと飛んだ! いゃあ、南国です。
昨日の竹富島と比べて、会う人はうんと少ないです。牛牛牛牛牛ときどきヤギ。蝶クジャク蝶クジャク蝶クジャクときどき人。何か飲み物を買おうと、数少ない店を見つけ、ぴよさんが入りましたが、ぜ〜んぜんお店の人は出てきません。戸は開くんだけど、いないみたい。テーゲー。これもまたよしかな? 店の近くの家では、石垣に囲まれた庭でおじいが息子さんらしい人に散髪してもらっていました。そよ風そよそよ。
西桟橋に行きました。ところどころ壊れている石のかたまり。連れ合いぴよさんは、ごろりと横になります。僕は、桟橋の先まで歩いていき、海の中を覗きます。カニが逃げていきます。色とりどりの魚たちが、一応って感じで逃げていきます。シャコエビもいます。竹富島のほうに、虹が掛かりました。ああいいなぁと思ったら、石垣島のほうが嵐のような雲。こっちに向かって来ます。
やれやれと、雨男と晴れ女は自転車をこぎ、そうこうしているうちに通り雨。なんだ、たいしたことないじゃんと、一軒だけあるレストラン「パームツリー」に入りました。牛だらけの島で、牛さんをいただきました。思いの外大盛りで驚きです。
さて、昼を過ぎて、そろそろ干潮です。東の海に行きました。朝、下見したときよりも、随分水位が低くなり、家族連れが海に入っていました。どれどれと、ジーパンをまくり上げて、ざぶざふと入ります。
ごろごろとナマコが転がっています。手招きするぴよさんのところに行ってみたら、青く輝く小魚がいるじゃないですか。ホテルの水槽なんかにいるようなやつです。あたりまえですが、野生の魚です。また、ぴよさんが興奮気味に手招きするので行きました。「海蛇みたい!」って言うんです。どれどれ。な〜るほど、こりゃあウツボですな。30cmくらいのウツボ。「アイボリーの体に、黒いトゲトゲ丸。その中に黄色のニコちゃんマーク」とは、ぴよさん表現。そんなウツボでした。関西弁の小学生としばしウツボが隠れた石を見守っていましたが、ウツボはなかなか出てこなくて、網持った少年、ごめんなさいね、期待させて。
僕は、ある程度見たところで、なんだか眠くなり、上がって昼寝。ぴよさんは、ときどき小雨降る中、傘を差しながら、また海に入っていきました。どんどん干潮になって、100mくらい行けるのかなぁ。昼寝しながら、イワナ釣りなんかに行ったときは、ぴよさんが昼寝で僕がいつまでも釣るのに、反対だなぁと思ったのでした。これも、またよし。
地元の方と話しました。ほらあの雲。西表は大雨だな。波照間は晴れだ。あれ、波照間だよ。このあたりは、よくマンタが見られる。マンタが泳いでいると、波の色で、陸からでも分かるんだ。海の温度は温かいから、今でも潜る人は潜るね。とくに北の人は、寒さに強いんだね。北海道の夏よりも、こっちの冬のほうが水温高いっていうじゃない。...なぁるほど。今度は、ぜひダイバーにならなくちゃいけませんね。
自転車ちゃりちゃり、牛むっしゃらむっしゃら。夕方が近づき、3時の船で石垣に戻りました。来るときと違って、小さめの船。デッキに上がって、風を受けながら、波しぶきを感じながら、黒島を後にしたのでした。また来るね、モーモー。
夜、また町に出ました。市場で麩を買いました。三線屋「イラミナ」さんで、三線を買いました。買うときは、ぽーんと躊躇ない僕です。ここで、作っている三線です。売っている方が、製作者なんです。元々付いていた金色系の飾りを、壁に掛けてあった愛染のものに替えてもらいました。初めからオリジナルな感じがいいなと思ったのですが、蛇皮の感じとはミスマッチ。えらく田舎臭くなったのですが、これもまたよしだな。フレットがないので、目印シールを貼ってもらいました。ちなみに、この三線はぴよさんからの誕生日プレゼントということになりました。どうもありがとうね。もうすぐ40歳の僕です。
居酒屋に入り、泡盛を飲みながら、テビチや島豆腐を食べ、今日は早めに眠りました。石垣、最後の夜です。
写真は、黒島の海岸をのしのし行く牛くんです。