始業式の日です。朝、教室に行ったら、何となく慣れない空気でした。久しぶりなもんだから、どんな調子だったっけ?と、少し照れるような、いずすような、そんな雰囲気だったんです。
ひとまずすぐに、ホールで始業式。全校のみんなの顔を見ながら、ちょっとの間に背が伸びていたり、顔がごっつくなっていたり、なんとなくふふっと笑っちゃうよな、くすぐったい気持ちになりました。
教室に戻ってきました。妙なしーんとした空気。こりゃあ空気をかき混ぜなきゃいけないなと思いました。
終業式の日、新潟に転校するSちゃんを送りました。今日は、Sちゃんの新しい学校デビュー。だから、時計を見ながら、話したんです。
「もうすぐ9時になるところでしょ。たいてい大きい学校じゃ、9時くらいから、始業式なんだよね。でね、きっとね、Sちゃんは、H小学校の校長室にいます。ねえ、こんなふうに座っていると思う? それとも、こんな感じ? それとも立ってるかなぁ?」
みんな、あれこれと言います。動作としては、緊張して座っているって感じ。
「あっ、今、校長室の戸を開けて、体育館に向かいました!」
素直なみんなは、真剣に想像しています。いゃあ〜いい人たちだっ!
「始業式の前にね、きっとSちゃんは自己紹介するよ。今、どんな気持ちだと思う?」
口々にみんな話します。そうそう、優しく温かいSちゃんは、今まで見たこともないくらい大勢の小学生の前で、きっとドキドキしているはず。そこで、みんなに提案しました。
「じゃあみんな、みんなの勇気を送るよ!」
えっ!
「カーメハーメ波ー!ってやるよ!」
そんなの恥ずかしいじゃんと文句を言いつつも、それぞれの胸のあたりから「勇気」をおにぎりにして、「カーメハーメ波ー!」って送りました。...ああ、きっと届いたなっ。その後、席替えをして、百人一首をして、そうこうしているうちに、帰りの時刻になりました。ふと気付くと、今朝とは全然違うキラキラした雰囲気で、僕はほっとしました。嬉しくなりました。さあ、3学期です。
そうそう、夜に家に一本の電話がありました。新潟のSちゃんです。明るい声は、いい感じにデビューしたことの証し。お母さんも嬉しそうで、ああよかった。H小学校の3年生は「今日ね、転校生来たんだよ」と、それぞれの家で話していたことでしょう。Sちゃん、連絡、ありがとうね。
写真は、2学期の終業式の日、教室でプレゼント交換をしていたときのSちゃんです。