今日は、4時間目授業をしたところで、年休です。給食を食べずに、四輪車で学校を後にして、東北道で仙台に向かいました。目指すは、仙台市青葉区役所。
婚外子差別に反対する仲間が、出生届を出すものの、受理されないのです。今日はそんな仲間の応援に行くのです。約束は、1時半。東北道を降りて、すすすっと勾当台公園の駐車場へ。駐車に時間が掛かると嫌だなぁと思っていたものの、スムーズでよかったよかった。
出生届が、なぜ受理されないか。それは、出生届にある「嫡出(ちゃくしゅつ)・非嫡出」の欄にチェックを入れないで提出しているからです。みなさんは「嫡出・非嫡出」って、どういうことか知っていますか?
簡単に言うなら、法律婚をしている夫婦の子は「嫡出子」、そうでない子は「非嫡出子」と分けられているのです。これは、民法900条第4項の相続に関わる差別(最高裁で違憲判決)を支えている考え方で、まさに子どもへの差別なのです。「嫡出」とは「正式な」という意味合いが込められているので、差別をなくしたいと考えている人たち(僕もそうです)は、「非嫡出子」とは言わず「婚外子」ということばを使っています。僕の仲間は、出生届にチェックを入れることが差別を助長・定着するものと考えるので、チェックすることを拒否して届けているのです。でも、それゆえに受理されない。
出生届の一つの欄にチェックを入れないという、ただそれだけで、青葉区役所は、出生届を受理しません。実は、今日が6回目の提出なのだそうです。子どもはもう生まれてから1年になりますが、出生届を受理されていないために、戸籍も住民票もありません。国保さえT出生届に基づいて戸籍が作られ、戸籍に基づいて住民票が作られ、住民票に基づいて国保の手続きができるUという考えによって、権利がない状態のままに置かれています。こりゃあ、何とかしなくてはいけないのです。少なくとも、健康保険が使えるようにならないと、医療費が生活を圧迫します。それは、経済的にだけでなく、精神的にも大きな圧迫です。
青葉区役所の5階。保険年金課の前で、みなさんが来るのを待ちました。当該のお二人、差別に反対し窓口でやりとりをしたことがあるお二人、そして別姓を考える会の会員でもある学者さんと、僕。僕は、カメラを下げ、いつものクロッキー帳にメモをしながら、少しだけ報道っぽい顔で立ち合いました。
保険年金課の窓口の女性は、訴えを聞き、後ろの係長・課長のほうに相談に行きました。しばし待った後、本庁に聞いてみるのでしばらくしてからまた来てほしいということでした。じゃあ、今度は市民課に行きましょう。ということで、1階に移動しました。
当該のお二人は、何度も来ていますし、文書のやりとりもしています。窓口の人は、やっぱり中に入り、ごしょごしょ相談。そして、中のソファのあるところで、話し合いをしましょうということになりました。当然、僕も一緒です。みんなで中に行きました。
市民課の課長さんと係長さん。結論から言って、今日も「このままでは受理できない」ということでした。2時間以上も話し合いをしました。法律の問題点、いろんな自治体の事例、多岐に及んだ話し合い。当該のお二人だけでなく、みんなそれぞれに考えを述べ、質問し、聞きました。どうして受理できないかという質問に「法だから」という答えは説得力がないのです。
しかしながら、これまでいろんなところで、いろんな交渉をしてきましたが、今日は人間的な話し合いができたように感じました。会うこともしない、とても嫌な顔をして「予定があるから時間など取れない」と機械的に言い放つ、そんな自治体が多い中、よく2時間以上も穏やかに話し合えたものだと、結論はよくなかったもののの、感心した僕でした。感心というのは、許すってわけじゃないですけどね。今日は受理できないということでしたが、検討しますということでしたので、期待しています。同じような話し合いの時間を設けると約束してくれたので、そのときはぜひあなたも参加してくださいね。多くの人が関心を持っていることは、伝えていくべきだと感じています。
4時を回ったので、僕は保険年金課のことが気になっていました。これからまた保険年金課で話し合いとなると「時間切れだ」と席を立たれる、または「帰れ」と言われる心配があったからです。4時過ぎ、急いで保険年金課に戻りました。窓口で、さっきの担当の方が「国保が使えることになったので、申請用紙に記入してください」とのこと。いゃあ、ほっとしました。よかった! たいして仕事ができなかったものの、来ただけの甲斐があったと、嬉しくなりました。
実は、6時から東北大学学生自治会で「教育基本法と学校現場」という学習会をすることになっていて、僕はその資料を仙台市市民活動サポートセンターで印刷製本するつもりでいました。当初考えていたよりも、時間に余裕がありません。
保険年金課で話し合いをすることがないことを知った僕は、みなさんよりも先に区役所を出ました。一度駐車場に行き、車に乗りました。でも印刷する紙を買う時間がないことに気付き、車を置いたまま、一番町のいつもの文房具屋さんに走り、紙を買いました。ほっ。車を出して、サポートセンターへ。急いで印刷、そして紙折り。16ページの資料を30部。
そして東北大学に向かいます。ローソンで肉まんとサンドイッチを買いました。会場のC104で食べました。ふー、給食を食べないで来たので、結局昼抜きでしたなぁ。
6時を回って、学習会。こじんまりとしたものだったので、いつもの授業型で進めるつもりでしたが、ごめんなさい、結局べらべらとしゃべってばかりの僕でした。学生諸君に、おじさん話に付き合わせてしまった感じで、反省しています。
日本国憲法・「あたらしい憲法のはなし」から、宮城教育大学での立て看のこと、昔憧れたアジ演説のこと。尾崎豊の歌から、「日の丸・君が代」のこと、指紋押捺拒否のこと、推薦入学のことなどなど。はー、本当に学生諸君、申し訳なかったです。一応、レジュメはこんな感じで用意していたのですが...
教育基本法改悪阻止のための学習会
本時のめあて
意見を異にする人に、自分の言葉で、
教基法が改悪されてはならないことを、伝えられるようになる。1 教育基本法の前に、日本国憲法のこと
・「全てを疑え」...「自分のことは、自分で( )」※羽仁五郎「都市の論理」
・日本国憲法は、本当に素晴らしいものか? 改憲したほうがいいのではないか?
・日本国憲法前文...今、反映されていること・されていないこと2 では、教育基本法とは
・教育基本法...権力のための法・人民のための法:法とは
・日本国憲法の精神は「未来」に託される。
・「学校は子どものためにある」or「子どもは学校のためにある」
・「国家のための子ども」or「子どものための国家」
...でも「教基法改悪は、お国に従順な労働者づくりなんです」だけでは、伝わり切らないかもしれない。3 改悪したい人たちの考えと取り組み
・支配する者が、予定通りに支配し続ける安定
・「自由」とは?、臨教審、弱肉強食 ※石坂啓「安穏族」4 問題点は何か
5 学校現場の実際
・「管理教育」:制服・頭髪の問題...という過去?
・共通一次テスト→センター試験、推薦入学、少人数学級、意欲関心・知識理解
・「心」
・物言わぬ教員作り:「不適格」教員排除攻撃、「優秀」教員表彰、評価制度
・東京都石原都政の横暴:「日の丸」「君が代」への服従の徹底と、それへの抵抗6 これからのこと
・自分の言葉で表現すること、表現し続けること
・仲間を捨てないこと
・考えを異にする人を切らないこと
・「世の中に、正しいことぐらい強いものはありません」
(「あたらしい憲法のはなし」より)学習会を終えて、外に出ると、月が輝いていました。ソウル・フラワー・ユニオンを聴きながら、帰りました。「復興節」「がんばろう」...。なかなかハードな一日でしたが、体が軽いのは、国保を使えるようになったからでしょう。勝利があると、未来が輝き、苦労は報われる。ああ、僕はやっぱり闘いの中で暮らしているようです。
写真は、今朝の朝焼けです。