神田のビジネスホテルで目を覚ましました。昨晩は、すかっとは眠れませんでした。まあ、単に飲みすぎなのかもしれません。
いつもなら、ホテルの朝食って取らないんです。1000円くらいするじゃないですか。優雅だけど、高いです。優雅だから、高いという見方もあるけどね。でも、今回は、朝の新幹線で仙台に向かい、辻川さんの講演会に参加することになっています。少し、ゆったりと過ごしたほうがいいと思って、ホテルの朝食を取ることにしたんです。バイキングなんじゃないかな?と期待してたのですが、違いました。なんか普通って感じ。和食・洋食と尋ねられて、和食にしたら、コーヒーも付かないんですね。こりゃ残念。
朝食後に、シャワーを浴びました。ほっとしました。ホテルを出て、歩きます。神田から秋葉原まで。山手線に沿って歩きました。秋葉原から東京まで電車ではすぐですね。
新幹線を待つ時間、珍しくコーヒーショップに入りました。iBookで、メールチェックをして、メールを出して、文書を書いて、そして新幹線はやてに揺られました。途中郡山あたりが白かったのですが、仙台に雪はありませんでした。東京よりは、少しぴりっと冷たい空気。ほっとしました。これでよしという気持ちです。
仙台戦災復興記念館に向かいます。途中、市民運動仲間の方に会いました。「あのー」と言いにくそうに何を話されるかと思ったら「この頃、白髪が増えてませんか? 忙し過ぎるんじゃないですか?」とのこと。忙しくて白髪が増えたのか、それとも元々なのかは分かりません。また、脱色して茶色・白・金色のまだらライオン頭なので、かえって目立っているのかもしれません。「そうかもしれないですが、まあ困っていませんよ、はっはっは」って感じ。
初めに、韓国労働者集会に参加してきた若者からビデオ上映をしながらの報告会です。五万人集まる集会って、日本じゃ全然ないです。集まるのって、わざわざ駆けつけるわけです。自分の意志あってのことです。そして、その五万人は、それぞれの職場や家庭に戻っていく...。繋がり合う「場」が力強いと、きっと一人ひとりが自信を持てるんだよなぁ。
昨日の日比谷野外音楽堂は、一万人は入りません。五万人集まるとすると、日比谷公園が人でいっぱいになって、皇居のほうまで広がっていく...ああ、そういうイメージは強く持ちたいものです。仙台で五万人となると、勾当台公園でやるとして、定禅寺通りにいっぱい、錦町公園のほうにも広がり、ダイエー前まで人だらけ。ああ、トイレの確保は大変だろうなぁ。出店なんかも出て、あちこちで音楽も奏でられて、夜も焚き火を囲んで、ヨサコイなんか舞って、盛り上がれるといいな。
さて、動労水戸の辻川慎一さんの講演会です。講演会のちらしには「どっしり構えてズルをせず、仲間がいれば大丈夫。」とあります。ちらしの裏には、辻川さんの講演からの抜粋が載っています。紹介しますね。
■僕は30年ぐらい前に国鉄に入った時に、最初は臨時雇用みたいな形で入って、最初にやらされたのは便所掃除でした。今のJRみたいにきれいな便所ではありません。それで、掃除、掃除と1カ月かけずり回って、もらった給料が9万円もいかなかったですね、当時。最初にもらった給料を覚えているんですけど、愕然としましたね。「俺が1カ月こんなに働いたのが、なんでたったの9万なのか」と。涙が出ましたね。
■僕が国鉄に入った頃なんか、機関士さんは「偉かった」 ほんとにです。「偉い」というのはプライドを持ってやってたんですね。ものすごくまぶしかったですね。たとえば、どこどこのカーブで何キロ減圧するとこういうふうに止まるんだ、とかいう話を詰め所でも毎日聞かされるわけですよ。そのくらい仕事にプライド、誇りを持っていたんです。
■たぶんこの場の青年労働者で、年収1千万円なんて1人もいないと思うし、恐らく大した給料もらっていないと思います。今年はほとんどベアなしだとか、ひどいところになるとボーナスなしなんて当然のようにある。そうすると高卒で最初の初任給が14万から15万ぐらいしかない。それから給料が上がらないんですね。これから10年働いてその給料が変わるのか、なんの展望もありませんよね。
■この尼崎事故の次の日に、常磐線の踏切で事故があった。トレーラーが「スーパーひたち」とぶつかったんだね。これも大事故で、トレーラーの運転手が酒を飲んでたんだな。酒を飲んでも踏切に突っ込んだ。これだけ見ると、とんでもない運転手だと思うでしょ。ところが、この運転手の運送会社は「大川運送」というんだけど、とんでもない会社なんだ。徹底的に労働者をこき使って休ませないし、低賃金。働かないと労働者は食えないから働くでしょ。だから極端にいうと「酒でも飲んでなけりゃやってられないよ」という状況なんですよ。それだけ聞くとひどいでしょ。だけどそれぐらい労働者を追いつめている。日本全体の労働者がそういう状況に追い込まれている。
■労働組合というのは、労働者が生き生きと闘ってなんぼなんです。幹部が偉そうにどうのこうのいうのが労働組合ではないんです。労働組合というのは、そこにいる人たちが生き生きと団結して闘っていることが最大の力なんです。それ以外の力はありません。
■さんざん労働者を追いつめて、それで労働者が悪いんだと。だけどそういうふうに労働者を追いつめているのは、会社であり、今の政府じゃないか。だから、僕はやっぱりそういうことに対して怒らないといけないと思うんですよ。
(2005.8.7 全国青年労働者交流集会inHIROSHIMA報告集・辻川慎一さん講演録より抜粋)辻川さんのお話は、文章で読むんじゃなくて、ライブが一番だなと思いました。学者さんの講演で、こりゃ本とおんなじだ、と感じることがあります。本を読めばそれでいいって感じ。今日の辻川さんは、さすが労働者! 「アニキ〜!」って感じですね。勢いとか、姿とか、表情とか、そういうのって大切って感じ。いろんな差別やレッテルや排除キャンペーンに屈しない人間丸出し・素手で勝負だ!という感じ。講演会に参加して、よかったです。人間的な感性を明け渡してはならないということ、所有すると失うものが増えること、それはときに「意見」もそうであること...などは、とても心に残りました。
そんなわけで、実のところまだ体にはアルコールが残っている感覚ありつつ、辻川さんとの飲み会に参加してしまいました。いやはや、いろーんな話をしました。やっぱりいい聞き手であることは、大切ですね。きちんと聴いてくれる人は、信用できる。そう感じました。
最終電車に乗りました。そして、なんということでしょう! 初めて、松山町を乗り越してしまいました。おまけに小牛田で車掌さんに起こされました。仕上げに、駅のトイレで吐きました。いやはや、反省です。
写真は、今日の辻川さん講演会です。