昨日へ     2006年01月03日   明日へ

今日も、何にも予定のない日です。とてもとても幸せなことです。ということで、お日さまが見ているけれど、ワインを飲みます。蔵王スター(赤)一升瓶です。

お正月を迎えるたびに「お酒に意地汚くなったらだめだよ」と言う、お婆ちゃんの声を思い出します。あれは、何年前のことだろう。夕張で過ごしたお正月でした。松竹梅の一升瓶があり、それを僕が一人で飲んでいたのでした。残したり、遠慮したりするのではなく、ぺろりぺろりとどんどん食べるのを、よしとするお婆ちゃんでしたが、お酒は別でした。僕は、お婆ちゃんの分厚い歴史を想いました。

僕とお酒の出会いは思いの外早く、小さい頃の誕生日の写真には、ケーキと共に小さいグラスに入った果実酒が写っています。父さんも母さんも、お酒を日常飲まない人たちでしたが、秋(たいていは10月10日)になると旭台の山に行き、山葡萄を採ってきたものでした。ザックいっぱいの山葡萄は、布を葡萄色に染めました。熊笹の中をこぐので、体はダニだらけになりました。家に帰ると、裸になって点検。僕は、最高17匹付いていた記録を持っています。ああ、あの氷砂糖で漬けた果実酒は、おいしかったなー。そういえば大学一年のとき、岩手の沢内村を歩き、道端の山葡萄を採り、寮に帰ってから「純」か何かに漬けたことがありましたっけ。

お酒と言えば、一人旅の途中のおじさんたちのお酒が印象的です。小学高学年になると、よく夜行列車で旅をしました。夕方に岩見沢や札幌で乗り込んだ夜行の急行列車は、翌朝釧路や網走、稚内や函館に、僕を連れて行ってくれました。あの、木製の客車。ドアは自動ではなく、バタンバタンと開けっぱなしのあの茶色い客車。シートも、直角に立ち、網棚はまさに紐を網のように編んだものでした。僕が、たいていほとんど徹夜してしまったのは、あの直角のシートのせいではなく、旅への興奮によるもの。あの解放感は、忘れられません。そんな夜行列車には、よく髪も髭も伸び放題の灰色のコートを着た、ずっと風呂に入っていなさそうなおじさんが乗っていたものでした。なぜか、僕の近くにはそういうおじさんがいて、彼らは決まって、内ポケットから、ウイスキーの小瓶を出して、ちびっちびっ...ときには、ぐいっ!...とやっているのでした。そんなおじさんたちに、あれこれと話し掛けられるのは、とても怖かったのですが、あの小瓶は、憧れでした。かっこいいー!って感じ。学生になり、自分でお酒を買うようになって、すぐにトリスの小瓶を買ったのは、言うまでもありません。

それにしても、学生時代の、寮の、体育会の、あの日本酒の飲まさせ方って、一体なんだったんでしょうね。寮食器の丼に、両関二級をなみなみ注がれて、飲まさせられる、あの記憶。体罰のようでした。両関が、高清水にランクアップしても、僕は日本酒をおいしいとは思いませんでした。そんなことがあったからでしょうか、就職してから飲んだ、嗜む日本酒には、驚きました。目からウロコとは、このことです。キレイなグラスに注がれた一ノ蔵純米のなんとつややかなこと! それから、僕は日本酒好きになり、嗜む日本酒のはずが、自主的に浴びる日本酒になり、お婆ちゃんに叱られることになったのでした。

ああ、そんなことを思い出しながら、何と言う事でしょう、今日中に、次のワインを買ってこなくてはならなくなるとは...

写真は、去年の1月1日の那覇の猫です。

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