昨日へ     2006年08月04日   明日へ

今日は、旅に出る日です。福岡空港経由で、長州の萩に向かいます。

まずは、5:50の電車に乗って仙台へ。朝霧に覆われていた大地。朝日が、桃の皮をめくるように、するすると青空にしていきます。仙台駅で、5分の待ち合わせ。かけそばを食べました。そして、館腰駅下車です。

やっぱり、バスはないようなので、タクシーで仙台空港に行きます。このタクシー代がいつも大きいなぁと感じます。空港に行ったら、仙台のSさんに会って、びっくりしました。しばらく後、同じ福岡行に乗ってきた僕に、彼はとてもびっくり。そう、広島行ではないのです。みんな、僕がヒロシマに向かうと思っているんですよね。でも、福岡経由なのです。

例によって、飛行機の予約などは、いつもいつも遅いんです。計画をきちっといれちゃうのが、嫌なんです。昨日の夜になって、飛行機の予約。5日の午後にヒロシマに着いていればいいので、遠回りの旅行です。広島空港って、広島市街から遠いんです。時間のロスがあって、好きじゃないんです。そこで、福岡空港。ここなら、博多まで地下鉄で2駅ですからねー。

昨日の夜に、萩の民宿を予約しました。電話の向こうのおやじさんは「そんな遠いところにおるんかい!」「旅の途中かい?」と明るい声でした。

という具合に、福岡行の飛行機の予約と、萩の民宿の予約だけして、僕は空の上。猪苗代湖を見下ろしました。五色沼が本当にそこだけ違う色で感動! すぐに日本海。そして北アルプス。気付くと、遠くに富士山。日本海側をずっと飛んで、9:45福岡空港に降り立ちました。空港を出ると、むむむむむんっ!と、南国の熱気です。すぐに地下鉄に乗り、JR博多駅に急ぎます。背中には、でかいザック。中には、教職員評価制度に反対する僕たちを処分しないでください!の「声」用紙や資料などどっさり。だから、余計な道を歩きたくないんです。行商気分だな!

博多駅で、青春18切符を買いました。そして、すぐに門司に向かう電車に乗りました。ホームには、見たことない電車がいっぱいあって、かつて鉄道マニアだった血が疼きます。ついつい写真を撮ったりするんです。

博多から門司。そして、下関。関門トンネルは、電車の先頭にいました。先頭の窓からトンネルに入るところを見ました。トンネルの中は、暗く、狭く、円く、そして急な途中の傾斜にドキドキしました。頑張れ、電車! ん〜、ここを作るのは、大変だったよね。思ったよりは長い時間を掛けて本州へ。下関から、山陰本線です。

ワンマンのジーゼルカーに、ごとごと揺られます。小串ですぐに乗り換えです。途中下車して、ふらふらと知らない町を歩くのが好きなのですが、今回はまず萩を目指すので、すぐの乗り換えなのでした。

ジーゼルカーは、長門市に着きました。20分ほど時間があるので、これはぶらぶらしない手はないというものです。長門市駅で降りたら、蝉が鳴いていました。暑さを演出しますね。お昼ご飯がまだだったので、何か食べるものを買おうと思いましたが、見つけたのは「ほっかほか弁当」の看板。南蛮弁当が100円引きで380円。僕が、ほか弁買うのって、結構珍しいことです。そしてキヨスクで、スーパードライ500ml。魚屋さんの窓に「ここ仙崎は近代捕鯨発祥地です」と書かれていて気になったのですが、クジラはまた次回にしましょう。

長門市から東萩に向かうジーゼルカーは、これまた小さなバスみたいな一両気動車。しかもロングシートなので、乗客みんなで車座になっているみたいなんです。ちょっと落ち着かないなーと思いながらも、遠慮なくお昼ご飯を食べました。14:17長門市駅発車。そして30分で、東萩駅に降り立ちました。

今日お世話になるのは、民宿「萩の家」さんです。インターネットで見つけたんです。こういうとき、インターネットは便利ですね。民宿の住所は知っていたものの、地図はなく、いつものように勘で歩き始めます。手にはカメラ。猫はいないかな? いい感じの古い壁はないかな? しかし、暑い! しかも、民宿はさっぱり分からない! おまけに、荷物は重い! ...そりゃあ、A3用紙2000枚ほど背負ってたら、嫌んなりますわなぁ。酒屋さんに入り、爽やかなお姉さんと馴染みらしいお客さんに、民宿の場所を教えてもらいました。「そっちいって、大きい道を左に行って、まっすぐいって、しんかいで左に曲がって、少し行ったら、右に行くんだぁ」...難しい。お姉さんが付けたし「しんかいの隣に、ローソンありますよ」...まずはローソンを目指そう! 「ありがとうございました!」と、また歩くのでした。途中、自転車置き場に猫が3匹いました。涼しそうな顔で、こちらを振り向き「重そうだね」って言ってました。

歩いて、ローソンが見え、「しんかい」が「心海」だったってことが分かりました。そして、しばらくしたら民宿の看板が見えて、ほっとしました。到着です。「こんにちはー!」と声を掛けると、はいはいはいと昨日の電話に出たおやじさんです。「昨日、電話していたのに、もう着いちゃうんだもんねー」と、東北から来たことを驚いていました。部屋に通されて、食事の時間を聞き、自転車を借りて、街に出ました。重い荷物から解放されてほっとして、自転車しゃらしゃら、いい風にふふっとしました。

僕が、今回のヒロシマ行きの途中で、萩を訪れた理由は、そう深いものではありません。山陰に行ったことがなかったから、行ってみたい。長州って、歴史上ではいろいろ出てきたけど、知らないから行ってみたい。そんなもんです。しかしながら、松下村塾には訪れてみたかったんです。吉田松陰に対する関心です。

吉田松陰と言って、思いつくのは、長州・安政大獄・反幕府・天皇制・やせっぽち・教える人...って感じ。実は、よく知らないんです。それでいて僕が関心を持つのは、倒幕のときには彼は既にいなかったこと(教え子たちはいた)、あちこちを自分で見て考えていただろうこと...によります。僕は、誰かが「偉い」とするシステム(一人ひとりがそう感じるのではなく、そうなのだ!と決めつける制度)を受け入れられません。民主主義の国に、王様とかがいるのって、矛盾していて、結局のところそれは民主主義じゃないんたろうなと、思うんです。だから、吉田松陰と同じ考えではないんです。けれど、実際に「そこ」に行ってみたかった。そして、この「実際に見てみたい」「それを伝えたい」という彼の生きかたには、何か共感を覚えるのです。

そんなわけで、自転車でふらふらしました。萩の街は、古い家並みも多く、カメラのシャッターを何回も切ります。けれども、あんまり観光観光していなくて、観光表示などはとても少なく、適当走りの僕は、すぐに迷子になりました。走る路線バスの行き先表示を見、太陽の位置を見ながら、うろうろ。迷子を楽しんだのですが、生暖かい風と黒い雲に少し不安が過ります。結局海に出て、海沿いに走ります。萩反射炉を見たかったんです。

萩反射炉の記憶も、適当なものです。小学校高学年の頃、夢中になって読んだ歴史マンガ、毎週見た大河ドラマ。そんな中の印象に、佐久間象山の顔があるんです。由井正雪のようなロン毛なのですが、上のほうで髪を結んでいた顔が浮かびます。肖像画では、耳がよく見えず、その頃ゴッホも好きだった僕は、「佐久間象山って、耳ないのかなー」と思っていたのでした。反射炉の印象は、レンガでできたもの。夕張の炭鉱施設に似た匂いを感じたんです。幕府に対抗する長州に、何やらそれが作られたってところが、すげぇって感じだったんです。

海に沿う道をしゃりしゃり走りますが、これがなかなかない。雨が降りそうな感じ。あのコンビニで、何か飲み物買っちゃおうかなって、思ったら、コンビニの裏が「萩反射炉」でした。喜び勇んで、斜面を登りました。あっ、あれぞ!と、レンガを見てわくわく! 国指定重要文化財の表示を見て、ん? なんと、復元なのね。ちょっとがっかり。レンガの塔は、なんてことなく立っていました。高台からは、海が見え、雨が降り出したので、そそくさと自転車に戻りました。

傘は持っていたのですが、濡れながら、走りました。次は、松下村塾です。線路を渡り、遠くに雷の音を聴きながら、ほどなくして松陰神社という表示を見つけました。なんと、松下村塾って、神社の中にあるのですね。歴史館は、もう閉館ということで入りませんでした。まあ、よしです。雨の中、松下村塾を探して、あら〜こんなに小さいんだぁ〜。ありました。小さく、そして新しく感じられました。1855年のことなので、ほんの150年前のことなんだー、そんなことに気付きました。観光バスが着いて、ガイドさんが話しているのを聞きました。何が「観光地」になって何が「観光地」にならないのかを、考えたりしました。

雨が止むのを待ちながら、猫を眺め、そしてまた自転車を走らせました。7時から夕飯ということでしたので、6時前には戻り、お風呂に入りました。風呂上がり、あまりの暑さに、不本意ながら100円入れて、部屋のクーラーを掛けました。100円で3時間。高いのか安いのか分かりませんが、クーラー嫌いの僕としては若干不本意です。

食事です。新婚系カップルと、セローで大阪から来ていた男性と僕。大阪から来たという男性とバイクの話をしました。ビールを飲みながら、おいしい海の幸。冷酒追加をしました。隣の部屋のテレビが見えて、野球のことをおやじさんと話しました。「やっぱり、仙台は楽天なのかい」そんな話。そして「いゃぁ、○○○さん(僕の名前です)、昨日の今頃、電話してきたよね。」と、また遠方から来たことへの感慨深しという話。そして、大阪の人とも野球の話。そして、サッカーの話。彼は、サッカーの審判をする人だったので、普段は聴くことができない専門的な話を聴けました。うまい高校生のチームが一番やりやすくて、予想が付かない動きをする小学生チームの審判が一番難しいとのこと。なるほど! 

これからの予定の話をしていて、8月5日6日なのでヒロシマに行きますと話したら、「広島で、何かあるんですか?」と聞かれて、少し驚きました。なるほど、8月6日は何の日かと問うて、分からない人も、いるんですね。その現実をきちんととらえないといけないな。

早朝に松山町を出た僕は、長州・萩で眠るのでした。

写真は、今日の松下村塾です。

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